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第479話 尾平の叫び

尾平の頭に幾重にも反芻する信の涙と拳。飛信隊脱退を告げられた尾平は一人佇んでいた。
尾平は信に殴られた後、羌瘣に縋るが、羌瘣は尾平の頬を殴り、自業自得だと怒る。信と同郷で一番の古参のくせに全く飛信隊のことがわかってないと吐き捨てる。
桓騎はシラけたなと呟き、信達にもう行っていいぞと興味を失っていた。信はまだ話は終わってないと睨むが、桓騎はすでに村焼きは全部終わっており、これ以上はなく、気が変わる前に失せろと返す。

尾平と一緒に桓騎軍に参加していた飛信隊員は尾平に対して、信のところに行って、弁明しようと言うが、尾平は無理だよと言い、城戸村に帰ると丘の上でいじけていた。尾平はこれまで、どれだけ血と汗を流し、何度も死にかけたのにたかだか腕飾一個とっただけでクビなんてふざけるな、村人のものとは思ったが、村は崩壊しており、それが何だってんだと想いを口にした。
尾平はさらに自分は信や羌瘣と違い、普通の人間であり、命がけで戦ってきたのに、腕飾一個で出て行けなんて、飛信隊のことを一番わかってないのは信じゃねえかと涙ながらに叫ぶ。

そこに丘の下より桓騎兵の笑い声が聞こえてくる。それは信が桓騎本陣に殴り込みにいったときの話であった。村人からの略奪や殺戮を禁止している飛信隊であったが、隊員の一人が腕飾を奪って、ぶっ飛ばされたとのことで、上もアホなら、下もアホだと笑う。さらに我慢の連続で見返りもなく、それで討ち死にした日には正にクソみたいな死に様だと笑い飛ばす。しかし、一番の問題は信であり、盗るのも怖い、犯るのも怖いとあれば将としても、男としても器は小さい、しかし、その小物は中華統一と天下の大将軍になるという夢を持っていると嘲笑う。

尾平はたまらず丘を駆け下り、桓騎兵を殴る。尾平は殴り返されるものの、信を笑う奴はただじゃおかねえぞと叫ぶ。器がでかいから盗みも犯しもしないのであり、信のために死ぬことはクソ死にではない、弟は立派に信を命懸けで守ったのだ、信が綺麗事を言っているのは百も承知で、色んな誘惑はあるが、それらも関係ないくらい、信のことが好きで、みんな信と一緒に命をかけて戦いたいんだと力強く言うと、尾平はそれが飛信隊なんだと改めて認識し、涙を流す。



まずは来週休載です。
尾平は改めて飛信隊への想いを再認識しましたが、この後どうすれば信に許してもらい、復帰できるのか…
信も頑固なところがあるので、単に謝るだけではダメなんだろうな…きっと

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