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第528話 犬戎の末裔

壁は橑陽城を見て、城が山と一体化して砦になっていることを確認する。楊端和は崖上の黒い兵達から獣の気配を感じていた。
趙兵は犬戎の末裔が趙王都圏の橑陽城にいることに戸惑う。舜水樹は犬戎は周を滅ぼした後、中華への定住に失敗し、族のほとんどは北の大地に流れ、匈奴に変貌したと言われていると説明する。公孫龍はだが、一部は太行山脈を縄張りとして、中華に残り、その後趙国がこの地に生まれ、犬戎とは戦わないために橑陽を与え、趙の中に取り込んだのだと付け加える。さらに犬戎本人達は取り込まれたとは思ってなく、実際橑陽には犬戎の自治権があり、趙からすれば治外法権の領域で趙の要人ですら誰も近づかなく、噂では無断で縄張りに入ってきた相手は容赦しないと話す。

犬戎は叫び、一気に崖を駈け下る。楊端和はそれを見て来るぞと叫ぶ。舜水樹は趙兵に道を開けるよう指示する。シュンメン隊は犬戎とぶつかるべく、突撃する。しかし、山の民は劣勢であった。
犬戎王ロゾは公孫龍の前に立ち、この軍の大将は貴様かと尋ねる。そうすると舜水樹はこの大将はおれだとロゾに言う。ロゾはさっそく此奴の首を刎ねよと部下に指示するが、舜水樹は犬戎族の言葉で早まるな、伝えることなく戦に巻き込んだのは詫びるが、今は趙宰相李牧の代理で来ており、舜水樹を切ることは李牧を斬ることと等しい、趙宰相を殺めてはさすがに犬戎族に明日はないと説く。ロゾはなぜ我らの言葉を話すのかと問うと舜水樹は匈奴の言葉だと返す。ロゾはそれにしても流暢であり、訳ありかと呟く。そこまで犬戎族の言葉で話していたが、ロゾは平地の言葉に切り替える。ロゾは貴様らの王はクソだが、李牧は年に一度自ら橑陽に赴いて雁門のうまい羊を振舞ってくる、話を聞くだけ聞こうと言う。舜水樹は単純な話だ、こんなところまで侵攻してきた秦軍を共に戦って跡形もなく叩き潰す。この戦いで趙が敗れるのうなことがあれば鄴は奪われ、この地に今の何倍の秦軍が押し寄せ、攻め取られると話す。ロゾは脅しかと問うと舜水樹はいや、見返りは来年以降も李牧自ら振舞われるうまい羊の肉だと返す。
ロゾはそれを聞き、悪くないなとし、山の王などとのぼせ上がっている小娘の生皮をこの手で全て剥ぎ取ってくれると断言する。





さすが李牧。こういう時を見込んでと言う訳ではないと思いますが、国内に巣食う言わば毒とも成り得るものとも友好関係を結んでおり、自分が危機的な立場になった時に助けとなる。あまりクローズアップされないかもしれませんが、李牧の恐ろしさの一つだと感じました。

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総大将・王翦

舜水樹・・〝北の遺児〟という事で間違いなく匈奴出身者であり、何らかの形で李牧に見出され現在に至るのだろう。今回、橑陽において李牧が彼を総大将に任命したのも、彼以上の適任者は他に居ないのは明らかだし。公孫龍ではロゾの説得には不向きだろうし。

にしても長年橑陽に根を張るだけあって犬戎の力は本物だな…あのシュンメンを圧倒する程だから。このままでは〝兵力差〟が更に開いてくる訳だから、秦軍としては〝質と戦術〟で相手を上回るしかないと思う。でなきゃ苦戦は必至だろう。
by 総大将・王翦 (2017-08-24 08:59) 

しゅうしゅう

李牧は毎年どれくらい羊を進呈しているんだろうか。

1万匹くらいでも、城全体が加勢するには足りなさそう。
舜水樹も歴史に残らない小国の王族の生き残りなのかもね。

by しゅうしゅう (2017-08-24 15:58) 

ぽん

ただでさえ(数的には)劣勢だったのに、質の面でも劣勢になると、楊端和もさすがに厳しい局面になりましたね。
犬戎の王ロゾを楊端和が一騎討ちで仕留め、犬戎そのものを山の民の軍に懐柔する、くらいしか跳ね返す術を考えつかないのですが、、、
何にせよ盛り上がってきました。
by ぽん (2017-08-24 17:17) 

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