SSブログ

第482話 離眼と趙国

桓騎は紀彗の弱点を抉り、趙軍を混乱に落とす選択を迫る。紀彗は金毛に対して、丘を捨てると宣言する。金毛は紀彗に対して丘の占拠こそ戦の勝利であり、自らそれを捨てるというのはあり得ないと諭す。しかし、紀彗は離眼を助けに行かなければならないと自らの意志を曲げるつもりなかった。
金毛は桓騎軍が離眼を落としたとしても飛び地のため、趙軍に包囲され滅するだけだとし、明らかに紀彗を誘い出す罠であり、紀彗軍が去った後に丘を攻め上がる兵が隠されていると説得する。
馬呈はそんなことは紀彗も当然わかっているが、それでも追わないと必ず腹いせに離眼を血の海にすると焦る。
金毛はせめて二日待てば砦が完成し、慶舎軍だけで丘を守れると譲歩する。
しかし、紀彗は今の離眼は桓騎軍を相手に半日も持たないと受け入れなかった。
そこに岳嬰が割って入る。
岳嬰はそんな身勝手は通用するわけがなく、どうしても行くのであれば殺してでも紀彗らを丘に留めると刃の先を向ける。馬呈は岳嬰の矛に自分の斧を乗せ、その前に自分が岳嬰を倒すと怒りを露わにする。
金毛はもしこの場で紀彗を殺せば全離眼兵は決死隊となって、慶舎軍に襲いかかり、それが趙軍の選択の中で最悪の道だと叫び、今我々はこの戦いの勝ちか負けの究極の選択を桓騎から突きつけられており、その判断を下すのは趙軍の実質的総大将である紀彗だと睨みつける。
金毛はさらに続ける。
最後に中央の武将として離眼城城主紀彗に言っておくことがある。それは慶舎軍は離眼のためでなく、趙国を守るために黒羊に戦いに来たのだ。黒羊を失えばここを拠点に周囲一帯が秦軍の侵略を受けるだろう、離眼はその中の一城に過ぎず、実際にそうなった時の趙人の血がどれほど流れるか予測すら立たぬ、そして一帯が秦の領土と化した時、言うまでもなくさらに奥深くまで次の侵略を受けることになるため、そうさせぬための黒羊戦であったのだ。それを防ぐために皆は戦いの血を流し、死んでいったのである。離眼一城を救いに行くというのであれば、その全てを無に帰すことになり、離眼一城のために趙国西部一帯が失われる可能性がある。それほど重い選択なのだ、よく考えて決断しろ紀彗と言葉を浴びせる。
紀彗は金毛の言葉に何一つ返事ができないでいた。


離眼城の城壁にいる兵士は遠くに物凄い数の兵士を確認する。鐘を鳴らし、男は全員城壁に登らせ、女子供を地下道へ避難させる。桓騎が来たと焦るが、実際に来たのは紀彗であった。
そして、紀彗は離眼を離れる準備を始める。




金毛の言うことは最もであり、何一つ間違っていなかったが、やはり紀彗も人であり、頭では行ってはならないと分かっていても、止めることはできなかったのでしょう。
しかし、そう考えるとみんな桓騎の掌の上でクリクリ踊っているだけですね…
桓騎、ホント恐るべし…

nice!(11)  コメント(27)  トラックバック(0) 

nice! 11

コメント 27

しゅうしゅう

もともと秦軍の目標は黒羊の攻略で、離眼城の攻略ではなかったはず。

となると、秦軍の目的は果たされそうですね。

先週は、策にはめて、紀彗を絡めとると予想していました。

桓騎軍の主力が今どうなっているのが気になりますね。
by しゅうしゅう (2016-07-21 07:41) 

李牧

展開が一気に進んで次回がきになります!  

離眼を選んだキスイの判断は如何に!?
by 李牧 (2016-07-21 07:55) 

モブ兵

黒羊と離眼との距離は分かりませんが、伝令もしくはキスイではなくバテイと少数の騎兵で他の城まで逃げろと云えばいいような。
離眼城に火を放つか破壊して防御力をなくして、キスイ父が殺された近隣の城は制服しているからそこに行きカンキを挟みこめばいいのに。
by モブ兵 (2016-07-21 08:03) 

お名前(必須)

やはり離眼に戻ったか紀彗。(過去に父・紀昌を失った拭い去れない記憶もあるし致し方なしか)しかしながら、金毛の危惧する通り、主要な大将不在の上にこの状況では桓騎の注文通りの展開になるだろう。

紀彗が戦線離脱=戦略的には更に不利になる訳だし、何より離眼を離れる決断は悪くないにしても、その隙に中央丘を桓騎に料理される可能性大だろう。・・・・ここは離眼に行くと見せかけた桓騎が、紀彗のその動きを察知するや軍を反転させ信と合力し、中央丘を掠め取る策が有力ではなかろうか。

つまりは紀彗が情にかられ戦線離脱した時点で〝詰み〟に入ったと見て間違いない。桓騎が特に厄介な存在と捉えていたのが紀彗であるから、彼らが抜けるだけでも戦力半減だし。

次号の戦の展開が楽しみだ…にしても予想外の長さだなこの黒羊戦…
by お名前(必須) (2016-07-21 09:31) 

お名前(必須)

丘を取るか離眼を取るかの選択。
つまりは丘を捨てなければ離眼が血祭りになるが、捨てれば見逃すて脅しでしたね。
紀彗が今無事にここについてるということは、お頭は離眼に行かず丘を取り戦は終わってるのでしょう、後は金毛ガクエイが無事撤退したかどうかかな。
モブ兵さんの言うこと自分も考えましたわ。
ついでに慶舎が生きてたら、そう簡単に丘取れなさそうとも思いました。
by お名前(必須) (2016-07-21 11:39) 

モブ兵

職業軍人に徹し切れないなら、三大天なんて無理だろう。
今の時代でも、家族が危篤だから幕僚長や大佐クラスが戦場から撤退なんかありえない。
by モブ兵 (2016-07-21 12:08) 

お名前(必須)

金毛と岳嬰が丘を守っている内に離眼の民を避難させ、避難完了後に黒羊に引き返して丘の上と下から挟撃するのかな?

…って、そうなると半日じゃ終わりそうにないから違うか。

それじゃあ離眼の民の避難は、黒羊を取られて、今後は離眼周辺が戦場になりそうだから、前もって避難しているだけ?

黒羊の砦化も離眼の民の避難も、事前にやって置けばよかったのに、何か趙も紀彗もやる事が後手後手な気がする。
by お名前(必須) (2016-07-21 12:48) 

かずお

紀彗が離眼に戻り、市民へ離眼の放棄を伝える…時間経過も不明瞭なので、丘でどのような決断したか判りかねます。戦闘初日に地の利を活かして背後を取った離眼兵。五万の大軍を動かす桓騎軍よりかは先回りは可能でしょうが、当然全軍なら桓騎軍に筒抜けになるでしょう。

丘で金毛将軍がどのような着地点を示したのか知りたいですね。白か黒かの判断だったのか、それとも妥協点を見つけれたのか。金毛将軍は秦軍なら唐張将軍のような堅実派みたいです。顔はモブっぽいですが、岳様に一般兵やり直せ!と判断の重要さや状況判断に優れている様子。残念ながら火力は地の利を活かしきれず、五千人将摩論に互角程度。内政向きなのでしょうか?来週は時間経過もわかるだろうし、信が何を任せれたのかが気になります。
by かずお (2016-07-21 12:49) 

ぽん

紀彗が離眼の民を引き連れ逃げる理由がイマイチ分かりませんでしたが、恒騎が追ってくる、という事ではなさそうですよね。
追う理由もないし。
となると、黒羊を放棄し離眼を選んだ事で、趙から亡命する道を選んだ、とかですかね。
by ぽん (2016-07-21 15:34) 

お名前(必須)

離眼はもともと辺境の城であり、他の趙の辺境の地域とも争っていたので、中央の軍とは趙軍であるという意識がまるで違うのでしょう
そこら辺もお頭が見抜いていたならそこは見事だなと思います
まぁ本当に打開策が無かったの?と言えばんーて気もしますが、それが出来るのは李牧級なんでしょう…
by お名前(必須) (2016-07-21 16:55) 

お名前(必須)

丘取られてるのにその横を大軍で悠々通って、周辺の城に侵攻できるってどういうこと?
じゃあ、この丘の重要性って何だったの?って感じ。
この丘取って拠点にしないと周辺への侵攻なんてできない前提でやってたんじゃないの?
正直、長々とやってた割にえ?それありって終わり方じゃないですかね^^;
あと、モブ兵さんのいうこと納得。どうせ逃がすだけなら斥候でいいじゃん。それで丘守ってれば勝てるんでしょって話じゃなかったの?
話ムチャクチャすぎ。
by お名前(必須) (2016-07-21 18:20) 

伝令

あの丘は天然の要塞というだけで、難攻不落ではあるが周りからは丸見えで、あそこからは攻め込むには適していません。
黒羊の集落はなくなってしまったので補給場所もなくなりました。
負けたフリをしてカンキ軍に丘を渡し、秦軍を
丘に閉じ込めなさい。 リボク
by 伝令 (2016-07-21 21:08) 

お名前(必須)

お頭は城に進軍する気なんてサラサラない
最小の力で丘、しかも半砦化したものを貰うつもり
城を先に取っても仕方ないことは金毛が説明してるよ
お頭お凄さは詰まる所人心の把握力なのだろう
対象の心理を読むことに長けている
by お名前(必須) (2016-07-21 21:35) 

先読みのシャア

紀彗は苦悩の決断ですね。趙国との決別を決めた様です。黒羊丘を去った時点で趙国からすれば敵前逃亡の反逆者ですからね。黒羊丘を失ったら、趙国は金毛が言った通りになります。金毛は慶舎が討たれた後に紀彗のお陰でここまで中央の丘を取れたのだから、決断を委ねたのでしょう。離眼の民の移住先はどうなるんでしょうか?
1、趙国の雁門とか、辺境(李牧の温情に期待)
2、秦国(桓騎軍ではなくあくまで、秦国)に降服、亡命
3、第三国(魏国)に亡命
この3パターンしかないと思います。
可能性が高いのが、2の秦国へ亡命と思います。
ここで、駆引きが必要で桓騎に降服するのでなく、秦国王に降服すれば、桓騎の虐殺から逃れられる。

こうなってくれば、秦国王に影響力のある、信の出番です。信が将軍になった時、離眼兵が大きな戦力になるし、紀彗、馬呈が信の参謀になる可能性があるのでは?
by 先読みのシャア (2016-07-21 21:51) 

ぬぬ

信はリガンへ、お頭は丘うまうまへ
こんな展開、いかがでしょうか?
by ぬぬ (2016-07-21 21:59) 

お名前(必須)

たしかに勝敗は既に決してるのかもしれないですね 来週が楽しみですね
by お名前(必須) (2016-07-21 23:01) 

昌平君

ぬぬさん!それいいですね!
かなり前の伏線ですが、張唐将軍との約束を実はカンキが遂行すべく、自分には無い能力を信に見出して、粋な計らいをカンキしてくれていたら!なんて考えると最高です!
by 昌平君 (2016-07-21 23:07) 

お名前(必須)

多分飛信隊の離眼行きはないでしょう
最後の指令がそうであれば、飛信隊の反応はああならない筈
特に事情を知ってるキョウカイは何かしら反応した筈なので
丘か待機かどちらかかと
by お名前(必須) (2016-07-22 00:18) 

チェキ

今号では紀彗がどういう決断をしたのか解りませんが領民つれて逃亡する気でしょうか?
もしかしたらカンキの書状には続きがあって投降すれば民は助けるなんて条件があったのかもしれません。
丘が秦領になればリガンも秦領になる運命だとすれば紀彗が領民のため秦に投降すると言う選択もあるのかもしれませんね
by チェキ (2016-07-22 01:23) 

キングダム楽しんでます

また、今号も、主人公は、キスイさん?って内容でしたね。信が全く出てこないし。
信からしたら敵国の将であるキスイをここまでの扱いをするということは、いつの日かカンキとのリベンジ決戦がありそうですね。
黒羊戦に関しては、カンキのほぼ完全勝利でしょう。ただ、キスイと金毛が最善の退却をした、つまり兵力は失わずに上手く退却したのカナ?と思います。
by キングダム楽しんでます (2016-07-22 01:56) 

お名前(必須)

ケイシャとリュウトウという知略の将を失ったキスイ達にはそもそもこの戦は勝てる道理もなくなってしまってましたね…やはりシンがケイシャを討ち取ったのはデカイですねぇ 将軍昇格は決定ですね セイとの約束の5年だし シンが将軍の初戦は何処との戦になるのか…キスイ達が飛信隊にくみこまれれば面白いですけどねぇ
by お名前(必須) (2016-07-23 17:35) 

お名前(必須)

コメ欄で、簡単に城に行けるなら丘取り不要じゃん意味不〜とか言っているキッズに一言
初心に帰って確認して下さい
秦国の目的は小さな城では無く、あくまでも趙国を侵略する事です
丘の周囲は、確かに集落や城がありますが、そんな所を陥落させても趙国に楔を打つ形にはなりません
しかし砦化した丘を奪取するならば、丘を拠点に秦国から趙国に兵を送る事が出来ます
序盤にあったように、沼地や密林、運河のあるこの地は城と違って、趙国からも攻めにくく、拠点としては最適です
そういった部分も考慮しながら、読む事をオススメします
by お名前(必須) (2016-07-24 12:17) 

KEI

黒羊戦はこのままあっさり終結しそうな予感ですね。
キスイの決断は趙国より離眼を選んだという形になりますが、
宮城谷昌光さん風にいえば「地」より「人」を選んだ
ともみてとれます。
それが今後のリボク対カンキに影響しそうな気がします。
信の視点から見ればカンキの才能に驚愕しこそすれ
将としての限界をみるのではないかと(直感で)
by KEI (2016-07-24 12:26) 

下っ端

↑と同様にそろそろ着地点が見えると思います! てか単行本でいうと3巻分くらいに相当するんですかね?

キングダム、いや原先生は主人公以外の多キャラによる視点を描くのが凄く上手くて、どのキャラにも感情移入してしまいますが、黒羊編におけるキスイ一派の描き方には随分肩入れしてるな~って感じます。
原さん批判でもなく、ましてやキスイが嫌いなわけでは無いです。ここまで、回想があったり詳細エピソードを入れるということは、やはりこれからキーパーソンになるからではないでしょうか?
どのみち、その答えが近々出されるのを楽しみにしとります。
by 下っ端 (2016-07-24 17:46) 

ぬぬ

キスイさんのコマは絵になるというかキラキラしてるというか、そんな印象を受けちゃうので、信の配下に入っちゃうと、どっちをヒーローと思っていいか悩んじゃいます…。
by ぬぬ (2016-07-24 18:15) 

thor

図らずも、信の目指す「天下の大将軍」の限界が見えた話でしたね。

信や漂が目指していた大将軍とは「味方から頼られて信頼され、敵から恐れらると同時に尊敬される偉大な将軍」だったのでしょうが、
紀彗はまさにそういう将軍だったからこそ桓騎の策にマンマと絡め取れてしまった。

もし慶舎が生きていればこんな事態にはならなかった。
慶舎が紀彗軍の離脱を認めたわけがありませんからね。

逆説的に見ると、慶舎の冷徹さが離眼を守り、紀彗の情愛が離眼を危機に陥れているのです。

紀彗の立場に立てば、信もおそらく同じ行動を取ってしまう。
仁将とはそれだけ選択の幅が狭い存在なんでしょう。

そして桓騎や万極は、逆にナニをするか分からない選択の広さがある。
それだけに敵に主導権を渡さない強さを発揮できるのです。
by thor (2016-07-27 01:43) 

お名前(必須)

情と言う正義は人間の根底であり戦国の世では最大の弱点でもあり実力以上の力を発揮出来る強みでもある‥問題はそれが吉とでるか凶とでるかその時の流れしだいですかね‥ケイシャ風に言えば しかしキスイの話をここまで根深くやるのはキングダムの今後の主要メンツになるという言うことですかねぇどうなんだろ
by お名前(必須) (2016-07-27 05:29) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。