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第423話 天下の起源

中華統一という政の夢を一笑に付す呂不韋。そこに瑠衣、李斯、蔡沢二人きりの部屋に現れる。さらにその後ろには太后もいた。呂不韋は政に対し、これはどういうことかと問うと政は呂不韋に対して話し始める。
呂不韋が嫪毐を後宮に忍び込ませた張本人であることは調べがついており、此度の反乱の首謀者嫪毐を作った元凶である。しかし、裁くことができなかった。七年前の竭氏、成蟜反乱を黙殺した時も、その後の刺客団による暗殺未遂の時も、近くは成蟜が死んだ屯留反乱の時も、一度も背後にいた呂不韋を裁くことができなかった。しかし、今度は違う、今行われている咸陽の戦いで勝利した暁にはいかなる言い逃れも許さず、必ず呂不韋まで罪を波及させ、大罪人として処罰する。そうして呂不韋を権力の座から引きずり降ろし二人の戦いに終止符をうつと力強く言い切った。呂不韋はそれを正面から受け止め、咸陽での勝利という条件付きの話ですがなと返す。政はどちらに転ぼうと秦国の中枢は新しき体制に生まれ変わる、ならばここまでいびつながら現体制の中で国政に関わり国を支えた者たちに、そして新しき政府でも大役を担う者たちに節目となる我々の言葉を、聞かせておくべきとは思わぬか呂不韋と語りかける。その言葉の意味は政は勝利した後は李斯らさえ登用するということであった。その言葉に蔡沢、李斯は驚きを隠せないでいた。
呂不韋は一向に構わなく、聞かれてまずいのはむしろ大王ではないかと言う。その言葉を政は無視すると呂不韋はでは皆にも聞かせてやって下さい、中華統一という狂気の願望を抱く胸の内をと続ける。

政は一度目を閉じ、そして開く。政は人の道を断ずる前に自分を語れ呂不韋と言う。これまでいつも大口を叩き、人を翻弄してきたが、その実腹の底を見せる言葉は口から出ぬ、天下を語ろうと誘うならば、呂不韋自身も腹を据えて口を開け、何を持って中華統一を狂気と断ずるか、まずはその理由をお前の言葉で明らかにしろ、上辺の中傷ではおれの夢には通じぬと断言する。政のその言葉に場は静まり返る。
呂不韋は元よりそのつもりであり、断ずる根拠として、呂不韋から見た天下像について話し始める。まず最初に天下を語る上で国、民、王それらの前に大切なものを明らかにしなくてならなく、それは天下の起源であると話す。今、我々の示す天下というものはいつ始まったか、何によって生み出されたのかご存知かと政に問う。政が沈黙を続けると答えはこれだと金を手にして示した。
政は貨幣制度かと返すと呂不韋はさすがですと言い、これこそ人の歴史における最大の発明にして発見であり、全ては金から始まったという。



呂不韋と政の天下理論がどう発展していくのかが楽しみです。呂不韋が金といった背景が気になりますね。呂氏春秋を完成させたほどであるから、かなり論理的なんであろうと思います。また、金は現代社会においても人の行動を左右する重要な要素であることから、非常に興味深く思います。
しかし、それをさらに政が論破してくれることを期待しちゃいますね!

李斯、蔡沢までも登用しようとした政はやはり偉人であると思います。個人的な感情は無視して、中華統一に必要な人材は何かを考えた答えだと思います。
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クリリン

冒頭における政の決意、さすがですね(もうとっくに調べが付いていたとは…おそらく昌文君らでしょう)それから新体制の暁には法家の李斯・功臣の蔡沢を登用する考えも秦国の富国強兵には欠かせんでしょうし。最後の「天下の起源」ですが、元商人である呂不韋らしい意見ですね…この貨幣制度の発明と発見のおかげで古来より人の欲望が後を絶たず結果、必然的に戦火が起こり現在に至ると・・・思うのですが、次号呂不韋がそれとは違う見解を述べそうな気もします。どんな議論になるか楽しみですね。
by クリリン (2015-03-12 07:35) 

普段はROM専

お初です、貨幣制度は確かに重要ですが、あくまでも安定した土台が必要で、そこから発展していくための制度だと思います、呂不韋の発言は先進国だからこその言葉かと、天下の起源=?には疑問が、それよりも政の500年続いた戦乱があと500年続くかもしれない「俺が剣をとるのはこれから500年の騒乱の犠牲をなくす為だ!」のほうが自国だけではなく他国の民すらも視界にいれての発言に天下の起源を感じます。
by 普段はROM専 (2015-03-12 09:35) 

お名前(必須)

クソ漫画年内で打ち切りが決まりました
by お名前(必須) (2015-03-12 15:17) 

NO NAME

もし、キングダムの世界で中華がみな統一貨幣なら、既に統一されており、政の行動は侵略でしかない。
統一貨幣でないなら、侵略戦争ではなく、統一貨幣を政治的に広め天下統一していくということかな?
リョフイの考えは現代ではすっきりするね。ようはユーロのことだと思います。
by NO NAME (2015-03-12 16:12) 

ファルファル

呂不韋らしい発言でしたね

改めて大王の窮地には信がいたんだなーと感慨深く思いました
by ファルファル (2015-03-12 19:17) 

ナイアガラの滝子

呂不偉が何考えてるのか、明らかになる日も近いですね。散々広げた大風呂敷、どんな思想を持っている人物なのか楽しみです。貨幣の力で国家さえ支配できるんです!天下取るんなら、銭の力やで~。とかさすがに言わないと思いますが…常人には理解できない発想で何を語ってくれるのか…目が離せません‼


by ナイアガラの滝子 (2015-03-15 10:43) 

徐福

「秦の貨幣制度

始皇帝は、法家の李斯を登用し、中央集権化を推し進めた。このとき、中央から派遣した役人が全国の各地方を支配する郡県制が施行された。また、文字・貨幣・度量衡の統一も行われた。


戦国時代秦は銅銭の鋳造を国家で行うことを定め、円形方孔の半両銭を正式な貨幣と定めた。これが半両銭の起源である。初期の半両銭を一般に戦国半分銭と称し、重量は8g程度、ただし、鋳造技術が未熟であったためその大きさがまちまちであり、中には円孔のものも発掘されている。当時の半両銭には大篆で「半兩」と記されているが、「兩」の中の「人」が長い字体より長人両とも称されている。

始皇帝により中国統一が達成されると、統一国家として秦は半両銭の使用を強制し、戦国時代に流通していた各国貨幣の統一を図った。この時期半両銭の鋳造を地方で行うことを認めていたため、その表面には小篆で半兩」と記されているが、「兩」の中の「人」が短い字体より短人両とも称されている。」

だそうです。。。各国で好き勝手に使っていたな銅貨などを李斯が中華統一後、強権を発動して、使わせてた。

結局通貨統一による中華統合ではなく、中華を統一した武力を背景に民へ強制して流通させたみたいですね。

通貨て価値を保障する権力がないと流通しないわけで
金貨や銀貨みたいに成分含有量が価値基準なら
世界で通用するのでしょうが、この時代金や銀て
一般庶民で本物を拝んだ人てどのくらいいたんだろうか?

いよいよ政が李斯のスカウティング開始ですか?

呂不韋失脚編は嫪毐の反乱処理後の話なので
サクサク進んでほしいのですが、作者の呂不韋
へのこだわりがあり、けっこう引っ張りますな。。
信が反乱軍を瞬殺・降伏させて、次のステップへ
進むとスピード感があるのですが。


by 徐福 (2015-03-15 20:41) 

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