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第451話 黒羊の夜

趙軍による奇襲で苦境に立たされる秦軍。慶舎による包囲の危機を脱し、雷土とゼノウは趙本陣へ逆奇襲を仕掛け、焼き払った。そして、戦場に夜が訪れる。
河了貂は飛信隊が不慣れなこの地に不慣れな間が最も趙軍にとって好機であるため、必ず夜襲をかけてくるとし、外側の隊はいつでも戦える準備をさせ、見張りは倍以上にするよう指示する。
楚水が信の元に近寄る。楚水は羌瘣が戻っていないことを確認する。信は斥候に出たきり樹海の中に消えたと答える。楚水は羌瘣が斥候で前に出た後、本隊は手前の丘に戻ったため、大きく間が空いてしまったため、前線の趙軍側にいるかもしれなく、羌瘣は十数騎であるため、趙軍に捕まっていければ良いがと心配する。信は羌瘣に限ってそんなヘマはしなく、それより心配はと言うとそこに桓騎軍から伝者が現れる。

羌瘣達一行は自らの位置を確認していた。羌瘣達は趙軍の深くまで入っており、完全に孤立していた。部下からはすぐに戻るべきと言われるが、夜営は厳重であるため、迂回して戻るしかなかった。しかし、羌瘣は迂回はしないと断言する。明日は戻って隊を率いて戦うが、その前にやることがあると言う。それは現在敵の後ろ側にいる、この好機を逃さず背後を突くことであった。

飛信隊の夜営地本陣では桓騎の部下兵より信に対し、初日の大失態により斬首に処すと言い渡される。河了貂はいくら何でもそんな権限はと反論すると桓騎はこの軍の総大将であり、権限はあると否定する。しかし、今ここで信の首を飛ばせば右側の事態が悪化することは桓騎も承知しているため、特別に減刑し、右腕だけ切り落とすとした。
しかし、信はそれを意に介さず、戦は最後に勝てばいいだろと言い、伝者に対し責任の重大さは認識しており、二日目以降で必ず目前の敵を撃破し、飛信隊が戦局を覆すきっかけを作ると桓騎に伝えろと言い放った。そして、最後は敵将慶舎の首をとって黒羊の戦いを勝利に導くとした。
那貴は相対している敵は一筋縄ではないと言うと貂は今日一日の苦戦でやれることやれないことなどの戦い方は把握できため、明日は前線を突破し、隊を中央丘横まで持っていくと断言する。
一刻後河了貂の読み通り夜襲があったが、その準備をしていたため、被害は最小限であった。信と貂は夜襲よりも羌瘣が戻ってこないとこが気になっていた。それは密林夜と羌瘣にとって得意な状況であり、逆に無茶をする可能性があるためであった。

羌瘣は眼前に広がる隙のない夜営を見ていた。部下達は敵将を討ち、生きて脱するのは不可能であるため、羌瘣に中止にすべきと言うが、羌瘣は三千人将になると敵を討つのにどのくらい味方に犠牲が出るか少しは考えると言い、そして、今は万の軍の敵将の首を犠牲なしで討てる好機があり、飛信隊のために無茶をするのだと諭す。難しくはあるが、勝算がないわけでもない、一千年前からこういう仕事をやってきている一族の出であるからなと言い残し、単身で趙陣営に乗り込んでいった。




羌瘣の単身での夜襲がどこまで成功するのか。普通であればあっさり敵に捕まるだろうが、羌瘣であればそれなりに結果を残せるでしょう。しかし、これで劉冬や馬呈あたりの将の首まで取ってしまったら、通常の戦いは何なんだろうかと思ってしまうところもあるかな…
十数騎であれば敵陣の背後を突くのはさほど難しくないでしょうし。
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第450話 野盗の意地

慶舎でも見落としていた絶体絶命の窮地における元野盗特有の知恵があった。雷土はゼノウに対し火兎と鳴らせと叫ぶ。ゼノウと雷土は笛を口にし、戦場に響き渡る大きな音を出した。
それを聞いた桓騎軍は脱兎の如く我先に逃げ去った。火兎の笛は彼らが野盗団であった頃から使われている代物であり、修羅場では何度も耳にした笛の音であった。その意味は絶体絶命、完全包囲てあり、もはや隊ごとの伝令、号令は不要、この音さえ聞けば野盗時代に戻り、逃げるだけであった。
その様が軍の退却の姿とはあまりにもかけ離れていたため、さすがの岳嬰も固まらずにはいられなかった。岳嬰は無様で無秩序であり、殿もないその姿は山猿であると嘲笑った。
火兎を桓騎とリン玉は遠くから聞いていた。リン玉は包囲が狭まる前の火兎であれば二隊が壊滅することはないと推測し、桓騎は趙には素人丸出しに逃げているかもしれないが、一番多く助かる方法であると話す。
野盗時代、山々にひそみ秦軍に追われながらも捕まらなかった桓騎兵は逃げのプロであり、そのプロ達の経験から最も生還率が高いと生み出された逃げ方が味方を気にせぬ個の、逃げ方である。集で追ってくる敵の的となればひとたまりもないが、その間、他の多くが逃げる時間となる。そして何より倒れた仲間をも踏みつけていくその走りは追撃してくる岳嬰兵が目を疑うほどの速さであった。そして、もう一つの利点としては殿がいなかったため、将がどこに逃げたのかわからないということであった。

夕暮れ時、雷土とゼノウは中央丘の麓で偶然落ち合った。そして、ゼノウは考えることは同じようだなとつぶやき、雷土はそれに同意する。
雷土とゼノウは建設中であった中央丘の趙軍を急襲し、焼き払ったのであった。雷土は元野盗団の桓騎軍はどんなに下手をうったとしても絶対に手ぶらでは帰らないと豪語する。
慶舎は燃え盛る趙軍をじっと見つめていた。



桓騎軍の秘策が全力で逃げることとは策で翻弄してきた軍としては単純な感じがしましたが、単純であるからこそ、現実的であり、最も効果があるのかもしれないと感じました。
物の見事に窮地を脱することができましたし、逆に趙軍を焼き払うことにも成功。これで雷土側の戦いは五分に戻ったのではないかと思います。
また桓騎自身はまだ動いていないので、そろそろ動き出してほしいと思います。
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第449話 蜘蛛の罠

自ら出陣する数刻前、慶舎はゼノウの快進撃を見つめ、不敵な笑みをこぼす。
岳嬰とゼノウ、雷土が相見える。岳嬰は戦で最も恐ろしいことは優位に立っていると思っていた状況が知らずに己の死地へと変わっていることだ、言っている意味がわかるかと勝ち誇って問うと雷土はわかるぜ、てめえがマヌケって意味だろと吐き捨て、両軍がぶつかり合う。
その歓声が趙軍本陣に届く。それを紀彗と金毛は耳にする。紀彗は岳嬰を心配するが、金毛は問題ないとし、紀彗の賭けより万倍安心できると返した。さらに慶舎自ら討って出たので、ゼノウ、雷土は終わりだと切り捨てた。紀彗はそれを聞き、慶舎は聞いていた以上に恐ろしい方だと感じた。慶舎が自ら出陣するときに紀彗に桓騎の片腕が砕ける音を聞かせてやると言い残していた。

尾平は慶舎の振り下ろした刃を槍で何とか受けるも、その重さに槍はへし折れた。その後、尾平は馬に轢かれ、弾き飛ばされる。
桓騎軍は慶舎の奇襲を止められずにいた。慶舎は後続も徹底的に叩くことにより、頭と分断させようとした。
精鋭部隊を率いた慶舎は中央丘の裾を斜めに走り、一気に樹海の地を飛び越えた。そして、雷土隊を追っていた尾平達二列目を真横から奇襲。この奇襲により、二列目は完全に足止めされ、前方の雷土、ゼノウ隊は後続を失い孤立する。さらに慶舎軍右翼の各隊は続々とその雷土隊の方へ行軍しており、雷土、ゼノウ隊は気付かぬ内に孤立、包囲の窮地に陥っていたのだ。

金毛は遠くからその様子を見て、李牧が本能型の蜘蛛であると例えていたことを話す。見えない糸で巣を張っている恐ろしい蜘蛛であり、敵は好機と思い近づくと知らぬうちに絡め取られて骸になる。その結果、初日から桓騎は片腕を喰い潰される羽目になったとつぶやいた。

雷土は後続が来ないことに焦りを感じていた。後続を呼びに行った伝令は二列目が来るはずの道で敵と遭遇したことを報告する。雷土はゼノウ一家の暴れっぷりを見ても岳嬰が余裕ヅラをしている理由を理解する。雷土はこんなに綺麗に桓騎が嵌められたのは初めてだと感じていた。
雷土の言葉通り、この分断、包囲の危機は桓騎の予測を大きく越えた事態であった。だが、慶舎も一つだけ気づいていない部分があった。包囲を受ける雷土、ゼノウの面々は元大野盗団ならではの知恵を持っていたのである。




雷土、ゼノウ一家がどうこの状況を切り抜けるか気になりますね。大野盗団ならではの知恵というのは何なのか。何か地形を利用することによって、敵の目を欺き、危機的状況から抜け出すとかですかね〜
しかし、桓騎軍は今のところやられっぱなしなので、逆転の一手がほしいですね。桓騎も実際どこにいるかよくわかりませんし。実は中央丘の上にすでにいるとかかな…?
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第448話 戦場の匂い

黒羊丘の攻防戦が激化。序盤に飛信隊が趙軍の奇襲を受け、秦軍は劣勢に陥っていた。
飛信隊は相対する馬呈、劉冬の巧みなゲリラ戦術に苦戦し、前線を押し戻せずにいた。そして、趙軍の本軍の先鋒隊は早くも中央の丘にわずかなところまで進軍していた。
慶舎は自身らのいる本陣はまだ登らないとした。金毛は軍が丘上に展開する間が最も無防備であり、本陣を上げるのは先鋒隊が砦の基礎を築いてからでも遅くないと慶舎の意見を支持した。紀彗も岳嬰同様に慶舎は用心深い人間だと感じていた。しかし、慶舎は用心深いのではなく、まだ下で桓騎の匂いを嗅いでないからだと否定する。
慶舎のいる本陣から程ない場所で歓声が沸いた。そこではゼノウ一家と雷土の部隊が趙軍を蹴散らしていた。二列目の尾平も後に続いて参戦するために走っていた。その脇に中央の丘を確認する。その大きさは山に近く、それを砦化したら手も足も出なくなってしまう状況であったため、桓騎は奥の手のゼノウ一家を序盤で使ったのであった。

趙軍本陣に右翼前線が決壊した伝令が入る。紀彗は樹海地で敵を抜けるのは相当な力の差があり、桓騎が最強部隊を投入したことを察知する。そこに中央先鋒隊より丘に登る準備ができた報告が入る。紀彗は慶舎に対し、丘を登ろうとする隊の横腹を狙われる可能性を示唆し、先鋒隊の丘への移動の取りやめを進言する。
しかし、慶舎は紀彗に対し、無用な口出しであり、今は慶舎と桓騎の間に割って入るなと紀彗の意見を退け、先鋒隊の丘への砦化を命令する。

丘を登る趙軍を雷土は確認する。雷土は麓で登り待ちをしている軍の横腹を食い破るべく、ゼノウを率いて軍を展開する。しかし、その行動は慶舎はすでに読んでおり、岳嬰隊に木をなぎ倒させることにより、道を塞いだのであった。

また、慶舎は自ら出陣し、桓騎軍と刃を交える。そこには尾平がいたのであった。




いきなり尾平大ピンチになりましたね。九死に一生の状況ですが、運はとても強いでしょうから、何とか生き残るとは思いますが…
しかし、慶舎が桓騎軍と交戦した理由は何でしょうか…本能型の人間として、桓騎を一度見ておく必要があったから…とかかな?
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