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第480話 尾平と飛信隊

飛信隊と信への熱くみなぎる気持ちを桓騎にぶつけた尾平。しかし、返り討ちに遭い、馬乗りにされ、顔面に拳を何発も叩き込まれて、意識が飛んでいた。
そこに那貴が現れ、桓騎兵を止める。しかし、桓騎兵はてめぇには関係ないと続けようとするが、那貴は自分が声掛けをして、尾平を桓騎軍に送り込んだため、関係あると返す。それに怒りを感じた桓騎兵は雷土一家の自分にケンカを売ったら、那貴のような小さい組はとまでいうと那貴は桓騎兵の首に膝掛けを食らわせ、首の骨を折り殺したのであった。那貴は一家をバカにしたのが悪いと言い、おれがキレたら雷土より怖いと脅し、桓騎兵を退散させた。

飛信隊の陣では田有が羌瘣に手当を受けていた。羌瘣は桓騎を少し甘く見ていて、危うく田有を死なせるところだったと反省する。田有は尾平が乱入してきて結果的に命拾いしたなと呟き、さっき尾平が帰ってきたと騒いでいたなと言うと羌瘣は桓騎兵に暴行された瀕死の尾平を那貴が運んできて、今信が尾平についていると教える。
それを聞いた田有はどっと疲れたな羌瘣と口にする。羌瘣はそれに同意する。


尾平は意識を取り戻す。そして、傍に信がいることを確認する。
信は語り始める。実は昔戦地で一般人の家に入って盗み食いをしたことがある。ちょうど三百人将になったくらいの頃、一回無茶して隊が散り散りになり、皆が集まるまで一週間以上かかった。信は一人で深手を負い、食い物もなく、倒れそうだった時に茂みの中に民家を見つけたのであった。その住人は戦が始まることを察知し、慌てて逃げたようで作りかけの料理がそのままになって、腐りかけていたが、信は上がり込んでそれを全部平らげたのであった。意識は朦朧としたが半分腐ったその食物がとんでもなく美味かったのを覚えていた。
そして、その半年後にまた似たような状況になったのだ。住人は逃げ出して作った料理はまだ綺麗なものであったが、飢えで倒れそうではなかったというのが、前回と異なる点であった。しかし、腹は非常に減っていたので、また食べたが、その味はクソみてえな味がしたのであった。その時信はそうだよなと納得したのだ。子供の頃光り輝くものであり、ヒョウと思い描いた天下の大将軍の姿は陵辱や虐殺などはなかった。信はその時にヒョウと夢見た天下の大将軍の姿は今でも色あせる気は全くしなかった。もし、桓騎みたいなやり方で勝ち続けてもヒョウは喜ばないし、信も何も嬉しくない。ガキみたいなことを言っているのは十分理解しており、飛信隊の隊員にも青臭いとバカにされ、いろいろ我慢させてしまっているのもわかっている。しかし、そこは譲れなく、子供の頃に描いた誰よりも強くてカッコいい天下の大将軍に本気でなりたいと思っており、飛信隊もそういう隊でありたいと思ってると力強く語る。
天幕の外で信の話を聞いていた隊員達はその言葉を聞き、涙した。

信は尾平におれのわがままに付き合わせて悪いなと言うと尾平は一つも悪くないと叫ぶ。みんな好きで信のわがままに付き合っていて、全部承知の上で信と一緒に戦いたいと思っているんだ。それに実際我慢なんてことはない、桓騎軍と飛信隊は決定的に違っており、飛信隊は信と一緒に戦っているから、心が潤っているから略奪も陵辱も必要ないと豪語する。そして、尾平はもう一度飛信隊に入れてくれと懇請する。信は当たり前だ、一番賑やかな尾平がいないと隊が始まらないと返す。

黒羊五日目は中央丘を占拠し、砦化を進める趙軍に対して、秦軍は内輪揉めで半日を費やしたのであった。
だが驚くべきことにこの五日目の残り半日で黒羊戦は終結を迎えるのである。





信の子供の頃の夢の大将軍になりたいという気持ちとそれを支えようとする飛信隊は一層結束は固くなり、また一段と強い隊になるでしょう。
心を揺り動かされた良い回だったと思います。尾平も戻ってきたし。

しかし、ここから桓騎はどんな手を打ってくるのか。砂鬼一家がいたこと、桓騎兵がゲロを吐いていたことから、あの大きな輪のような物体はきっと人体を使った何かなんでしょうね。
少なくとも紀彗が砦化した丘を放棄して、降りてこざるを得ない状況をどう作り出すのか気になりますね…

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未来人

そろそろオギコ!
by 未来人 (2016-07-07 08:46) 

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あの黒いアーチ状の塊は何なんだ?…兵の反応を見るに住民の遺体を砂鬼が積み上げたのか…それを中央丘に見せつけて一体何をしでかすというんだ桓騎。しかもこの戦術によって戦が終結すると?んー解らん、趙軍も急ピッチで丘の要塞化をしていて優位な状況のはずが呆気なく敗れ去るなどと。

なるほど、信の「将軍になる上の」熱いポリシーがよく伝わった。筆者も天幕外の一員なら間違いなく涙してただろう(松左の様にはいかないが笑)これからも尾平の言う「心の潤い」を大事に隊が一丸となって道を誤ることのない様、突き進んでほしい。
by お名前(必須) (2016-07-07 09:27) 

おすぎ

尾平の件はうまくおさまった印象。お頭のやり方が見ものですね。
by おすぎ (2016-07-07 09:34) 

かずお

まだ本読んでないけど…泣きそうだ。桓騎には桓騎のやり方、信には信のやり方があって相容れないだけで目指すのは共に勝利なんだなぁと。ヒョウ公兵も王騎軍も飛信隊に手を組みやすいのは同じ信念だからと改めて考えさせられました。

桓騎軍は完全実力主義で成果さえ出せれば他問題無し。味方を斬ろう(桓騎将軍自ら…)が折ろう(那貴も…)が結果出せれば不問にする部隊だと再認識。つーか那貴、猫被ってやがるな?慶舎相手に「隙間突破専門」みたいな事言ってたが、実は豪腕。猫被る事によって敵も味方も観察してたんだな…後はオギコ様だけだ実力見せてないのは。千人将は伊達じゃない!魅せてくれオギコ様!あと半日しか無いけど笑
by かずお (2016-07-07 12:26) 

冬将軍

熱い回だった。
ついつい入り込んで涙ぐんでしまいました。
by 冬将軍 (2016-07-07 18:32) 

一兵卒

紀彗、バテイのリガン軍は、侵略者からリガン城を守るために戦ってる。
民間人死体アーチを見せつけられて、カンキ軍がリガン城に向かう的な情報を流布されたら、丘を降りてリガン城に向かわざるを得なくなるのかな。
その際に紀彗とバテイは趙軍の金毛やガクエイと対立するんだろうなあ。
by 一兵卒 (2016-07-07 19:08) 

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コメント
by お名前(必須) (2016-07-07 19:19) 

しゅうしゅう

半日で戦が終わるなんて、読みがまったくあたってなかったです。
私は一軍が城を落としに行き、もう一軍はゲリラ戦で丘への補給部隊を攻撃していくんだと予想していましたから。

丘の超軍はとんでもないものを来週は見せられることになり、城に撤退していくんでしょう。、
by しゅうしゅう (2016-07-07 20:57) 

馬鹿なりにまじめに書いてみる!

じんときましたね、現実的にもまれながらもかえないものはかえない信に心動かされます。ちなみに帰隊を泣いて喜ぶ鼻閉の鼻からうどんが出てるように見え、ツボでございました笑
by 馬鹿なりにまじめに書いてみる! (2016-07-07 21:16) 

かずお

二回目っす。買った。読んだ。泣いた。
テントの周りも男泣き山盛りじゃん。しかも徐々に集まって来て全員立ち聞き。ま、古参だからって什長が五千将相手に泣きながらお前!とかバカ!とか言える空気。きっとね、多分だけどね、下手な推測だけどね、信が進む度にチョット距離が開いてきたんだよね。本音で会話も減ってきたんだよね。偶発的なアクシデントだったけど久々にお互いの本音で会話が出来たんじゃない?那貴のナイスアシストって所でしょうか。

再来週ですか王騎将軍付き43巻…転勤先から通常版購入予定っす。
by かずお (2016-07-07 22:44) 

五百人将

渕さんに続き、尾平にもスポットライトが当たりましたね。
内輪揉めにも区切りがついたようで、慶舎を討った手柄は完全に信のものでしょう。
そして、これまでとこれからの隊の在り方を隊長の信、そして副長と最古参の目も通して再認識した形。
いよいよ将軍昇格待ったなし...なのかな?
by 五百人将 (2016-07-07 23:09) 

下っ端

田有と同じく、どっと疲れる5日目でしたわ...
今回ので那貴は変わらずに友好的とは分かったが、彼にはなにか裏があるというか、闇みたいのがありそう。
桓騎軍内での確執とかあるのかな? 

てか今更だけど桓騎軍5万て多すぎw 一体どこからそんな兵を築いたんだ?
by 下っ端 (2016-07-10 23:56) 

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桓騎軍5万…さすが中国。
野盗の数も半端じゃないねw
まあ全員が野盗出身ではないだろうけど…。
by お名前(必須) (2016-07-11 18:15) 

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尾平復帰おめでとう・・・・・・って部活動じゃねぇんだぞ飛信隊をしてけじめ一つまともに付けられ無いのかよって思ってても言わなかった人が多い気がするなぁ。
by お名前(必須) (2016-07-15 02:33) 

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部活とか何とか読んでるのが浅いわな
誰かの夢の火に乗っかって自分の火をくべる
これは良くあることだし、主義主張が反対なだけで圧倒的なカリスマが引っ張っているという意味ではカンキ軍も同じ
そこの対比が面白いところ
今後の展開的にもね
by お名前(必須) (2016-07-15 09:48) 

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私は15番が挙げた事を何一つ否定していないしそもそも論点がまるで合ってない浅知恵を披露してあげる気はないので誰か親切な人が教えてくれると良いですね。
by お名前(必須) (2016-07-15 12:15) 

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何が言いたいか支離滅裂だがとりあえず返信コメントご苦労様
by お名前(必須) (2016-07-15 13:18) 

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