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第525話 馬南慈の気概

秦右翼の窮地に突き刺した玉鳳隊の奇襲の槍。指令違反の行為であったが、亜光は百騎を連れ、玉鳳隊と挟み込み、馬南慈を討つべく、向かう。
王賁は馬南慈隊の後方を分断し、前方を孤立化させる。そして、後方を関常に任せ、そのまま馬南慈を討ちに進む。関常は今回の命令違反は独立遊軍の働きとしては悪くなく、この突撃で亜光軍第一陣の危機は救われ、逆に入ってきた敵将を窮地に陥れ、もし、このまま敵将まで討ち取るなら、右の戦場は序盤にして大いに秦側が優勢となると評価していた。

王賁は馬南慈を討ちに向かうが、部下から前を固められる。それはその部下が嫌な予感を感じ取ったからである。
そこにいきなり馬南慈が現れ、王賁の前を固めた兵たちを一振りで身体を分断する。
馬南慈は趙左翼三将が一人馬南慈であると名乗る。番陽はその姿を見て、蒙武並みの巨躯だと感じ取った。しかし、王賁は知らぬ名だと吐き捨て、さらにこの王賁が一撃で馬南慈の眉間に風穴をあけてやる故、覚えるまでもないと続ける。
馬南慈は趙国内の話だが、名を馳せた武将が次々と雁門に派遣されては一月残らず死んでいったため、修羅場での飾られた名など何の意味もないと返す。
番陽は噂では雁門は匈奴との戦いで中華の争乱以上に死地になっていると聞いていた。
馬南慈はこれまで北部全域を踏みにじらんとする匈奴以上に憎らしい奴らは他におらぬと思っていたが、去年李牧と共に咸陽に出向き、王に会ってから、考えが変わった、北部どころか六国全てを踏みにじらんと軍を興す秦王こそ人の皮をかぶった獣中の獣よ、匈奴に劣る愚か者共にこの馬南慈の鉄槌をとまで言うと王賁は馬南慈の眉間を目掛けて槍を突く。馬南慈はそれを弾き返す。
王賁は他国の王を嘲る前に少しは史を学べ、この五百年で百あった諸国が七つに淘汰された、一大国という流れはこの中華史が求める答えという見方もできる、しかし、趙将の言い分も百も承知であり、互いの思いの折り合いがつかぬから力で是非を決するこの戦場がある、来い馬南慈、秦王の刃として、貴様をここに沈めてやると豪語する。





まず始めに来週は休載です。
王賁対馬南慈という図式になりましたね。王賁の秦王の刃としてという言葉は素直に嬉しいと思います。政の想いが前線の武将にまで浸透しており、その目標のために一緒に突き進んでいるというところが、イイですね。
今後の展開としては馬南慈と王賁は僅かの差で馬南慈が上回っており、それを亜光率いる百騎が助け出すのではないかと…
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第524話 覚悟の比重

王翦軍第一武将亜光による突撃。亜光軍と岳嬰軍は激しくぶつかり合う。両軍共に弾け飛ぶが、亜光軍の後続は自軍の兵も関係なく、踏みつけて全速力で突進していく。その非常な程の躊躇さの無さが相手側と大きな力の差を生み、亜光軍が圧倒的に押し込み始める。関常は王賁に対し、玉鳳隊の騎兵も全秦軍の中でも指折りの実力ではあるが、あそこまで勝負に徹する冷酷さはなく、亜光は王賁が考えるより何倍も強いと語る。

馬南慈は趙峩龍に対して、なぜ第一陣を岳嬰に譲ったのかと尋ねると岳嬰軍は強く、その軍がぶつかれば敵の力量が図れるからであり、早くも敵が二万とみて侮ってはならぬ相手だと分かったと話す。馬南慈は同感だとし、第二陣として、出陣する。趙峩龍は少々早いのではと聞くと馬南慈は秦軍は趙を滅ぼす気で来ており、道を踏み外す程に思い上がった愚か者に怒りの鉄槌を食らわしたいからだと返す。

参戦してきた馬南慈は軍を主攻三千と助攻七千に分け、助攻七千を援軍に来るであろう亜光軍第二陣にぶつけ、壁を作り、主攻三千で亜光軍第一陣の脇腹に強烈な横撃を加えた。それを見た趙峩龍は馬南慈はただの武偏重の猛将ではなく、戦術眼も鋭いため李牧が副官に据えるだけのことはあると認識する。さらに持ち合わせる武が介子坊や廉頗に近しいとするなら李牧軍対王翦軍の戦いそのものの勝敗のカギを握る男かも知れぬと感じていた。

亜光軍第二陣が苦戦している中、乱戦の亜光軍第一陣と第二陣の空間を疾走する騎馬隊があった。それは王賁であり、中間を討って馬南慈を孤立させる狙いであった。
関常は命令無視の王賁に対して、あとで亜光から説教ですなというと王賁はうるさいとだけ返した。




王賁が早くも戦場に飛び出しましたね
人の言うことを聞くようなタイプではないですが、これが吉と出るか凶とでるか。
また馬南慈は李牧副官に相応しい実力を持っていそうですね。さすが李牧、人材登用も優れているのでしょう。

第523話 秦軍右翼の刻

王翦は蒙恬の隠れた真価を鋭く捉え、見事に左の役目を果たした暁には我が側近として幕僚に加えてやってもいいぞと勧誘する。しかし、蒙恬は笑えない、おれを入れるくらいなら、その前に入れるべき男がいるのでないかと拒否する。

趙軍左翼は三万の兵力を備えていた。馬南慈、岳嬰、趙峩龍がおり、馬南慈がこの中で誰が一番槍を務めるかと言うと岳嬰はおれが行くと前に進もうとする。
馬南慈が勝手だぞと止めると岳嬰はお前たちのことはほとんど知らぬ故、そんな奴らにこの戦場の第一刃を任せられないと睨み付ける。
趙峩龍は李牧の副官という肩書きで只者でないことは十分察しがつくと思うがというと岳嬰はお前こそ誰だと問う。それには馬南慈が答える。趙峩龍は元趙三大天藺相如の側近であり、中央にいる尭雲と二人して、長年王都圏の秩序を守ってきた影の英雄だと説明する。さらにわかりやすく言えば同時期の元趙三大天廉頗の側近、介子坊、輪虎の類の男だと付け加える。

秦軍右翼は亜光軍二万が横陣を敷き、その後ろに玉鳳隊がいたが、まだ指示が来ていないことに混乱が走っていた。そこに亜光が王賁の目の前に現れる。亜光は王賁に作戦を伝えに参りました若君と口を開く。
開戦の激突は亜光が請け負う故、玉鳳隊は横陣には入らず、乱戦の場から離れ、本来の持ち味を出す遊撃隊になり、好機が来たら伝者を送る故、それまで待機をと指示すると王賁は誰が練った策だと問う。亜光は王翦と自分で練った策だと答える。王賁は愚策だと切り捨て、玉鳳隊は一万の敵とも対等に戦う力を有しており、兵力で劣る秦軍は玉鳳こそ中に入れ、力の拮抗を図って然るべきだ、玉鳳隊を横陣の左端に組み込め、左から戦局を動かすと言うと亜光はそれでは初日から玉鳳隊の血が流れ過ぎると否定する。それを聞いた王賁は怒り、妙な特別扱いをするな、この状況で玉鳳隊を外に外す真っ当な理由はないと怒鳴ると亜光は自惚れなさるな、誰も貴方を特別扱いなどしていない、これは良くも悪くも双方の意見ですと諭す。
それを聞いた関常はさすが亜光はわかっていると感じる。王翦が策に関わったとするなら王賁を本戦に加えられなかったのは傷つけぬための親心ではなく、期待されていないという判断であると認識する。
そこに敵の第一陣が動いて来ており、亜光にすぐ戻るよう依頼が入る。亜光は最後にこの開戦の時に亜光自ら伝えに来た重みを汲み取っていただきたい、玉鳳隊の力が必要な時、その力が半減していては戦術がそこで終わってしまう、どうかその時が来るまで冷静に、案じられずとも右の戦場は亜光軍、玉鳳隊が共に死力を尽くさねば勝ちは見えてこないと諭す。

趙左翼第一陣は岳嬰軍でその数はおよそ一万であった。亜光はそれを見て、自ら一万を率いて出陣する。
関常は王賁に亜光は小細工を好まぬ武人であり、正面から堂々と思いっきり敵にぶつかりに行く、兵士も亜光の分身みたいな奴らばかりなので、何の恐れも抱かず突き進むと語る。

そして岳嬰軍と亜光軍がぶつかる。関常は王賁に父君に認めてほしいなら、王翦が最大の信頼を置く、第一武将亜光の戦いをよく見ておくといいと語る。





遂に右翼の戦いが始まりしたね。王翦は家族であろうと勝つための一つの駒としか考えないのでしょうね。ドライとは思いますが、理解はできますね。
でも王翦なら王賁をこういう扱いをすると逆にプライドが傷ついた分、粉骨砕身で戦うということを予測してるということを期待しています。。。

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