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第521話 機動の妙

数の不利をものともせず、紀彗軍を楽華隊は翻弄する。狩場に引き込まれた紀彗兵は楽華隊にことごとく蹴散らされ、本陣まで退却する。蒙恬はそれを追いかけ、徹底的に背を叩いた。
その苦戦の様子は紀彗と馬呈に伝えられ、怒った馬呈は騎兵五百を引き連れて、楽華隊に襲いかかろうとする。
蒙恬はそれを見るとすかさず退却しようとするが、馬呈は逃すまいと追いかける。紀彗は今すぐ馬呈を呼び戻そうと伝令を走らせる。
蒙恬は黒羊戦の全容の情報から紀彗軍に関してほぼ丸裸にしていた。馬呈は紀彗の側近中の側近であり、圧倒的な武力で紀彗軍の攻を一手に担う男で、もう一人の片腕の劉冬亡き今、馬呈を討てば紀彗軍の力は半減すると分析していた。蒙恬は願ってもいない好機であるため、序盤で馬呈を仕留めようと考える。
馬呈が蒙恬達騎馬隊に追いついた瞬間、じい達が参上し、馬呈に襲いかかる。歩兵も来ており、蒙恬は再び旋回しら背後に回って、退路を断ち、馬呈の首を取ると宣言する。しかし、馬呈が振り下ろした斧に楽華隊は粉砕される。蒙恬は馬呈の力は報告以上だと認識する。

紀彗軍本陣に馬呈と楽華隊が乱戦に入ったことが伝えられる。紀彗は蒙恬の戦いぶりをみて、数多の戦い方を熟知していると感じていた。蒙恬は騎馬の機動力を駆使し、急襲と離脱を繰り返し、紀彗軍の戦力を削ぎ続ける戦術であり、放っておけば外側の歩兵がやられ、半端な数の騎馬で追えば奥に罠をはられ、それも討たれてしまうのであった。そこで紀彗は三万の全力で追い詰めて一撃で楽華隊を消滅させるべく、全軍右向きに陣形を変えさせる。紀彗軍は目を疑う程の早さで陣の形を変え、出陣した騎兵と歩兵は全速力で楽華隊に迫っていった。
しかし、結果これが完全に裏目にでる。紀彗軍全軍が右側に陣形を変えきった時、それまで正面だった左側より地平を埋め尽くす程の秦の騎馬隊が出現したのである。それは中央軍にいた王翦の片腕麻鉱軍五千であった。さらに出現した騎馬隊の奥にさらに五千の騎馬隊が紀彗軍に向かっており、さらにその奥に五千から一万の歩兵大軍勢が紀彗軍に向かっていた。



なんと序盤からすごい展開になって来ましたね。王翦のとんでもない作戦にいきなり紀彗軍はピンチに陥りましたね。しかし、そのきっかけを作った蒙恬はやはり非凡であり、その力は紀彗も認めるところでした。
ところで、麻鉱の奥の騎馬隊の五千とその奥の歩兵大軍勢はどの軍だろうか…やはり王翦軍のどこかの部隊なのでしょう。飛信隊を投入するには早い気がしますし…
ここで、天才李牧はどう巻き返しを図るのか、このまま右翼がもぎ取られるということは流石にないでしょう。

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