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第511話 列尾の罠

火急の如く夜通し駆け、王都へと突き進む李牧。そこに伝令が現れ、列尾陥落の報が入る。さらに、公孫龍は後退し、陽土に布陣したという報告に一同は戸惑いが走る。しかし、李牧は自分の指示通りであり、列尾には自らが施した秘密があると話す。しかし、その罠に王翦は気付くだろうと考え、そのため秦軍はそこから一歩も動けなくなると断言する。舜水樹は李牧が王翦の立場であればどうするかと尋ねると李牧は多少危険を冒してもあれを見にいくと語る。

列尾城では貂が王翦のいなくなった本陣に何か伝言はないのかと聞くと共に消えた第一大隊長の亜光から、全軍列尾に三日待機と言われていると話す。貂は三日も費やしたらせっかく李牧を先行した意味がなくなると怒鳴るが、楊端和は冷静に本当に伝言はそれだけか、列尾城について何か言っていなかったかと確認する。
桓騎の陣では王翦がいなくなったという情報が入る。桓騎は城がやべーからだろと一人呟く。

王翦が姿を消して二日、秦軍は列尾から一歩も動けずにいた。無論王翦の失踪の件は上層部だけの秘密であり、兵は次の進軍のための休養と信じていた。

楊端和、信、王賁、蒙恬が一堂に会し、そこに桓騎が現れる。それで蒙恬は列尾城は意図的に弱く作られていると発言する。蒙恬は城内に入り、二日見回って微妙な城壁の高さ、乱れた動線等意図的に守りづらくなっていると続ける。そして、王翦はいち早くそのことに気づいて姿を消したと言うと信はなぜそれで総大将が姿を消すのかと聞く。蒙恬はそこまではわからないと返す。
信はそもそも何で列尾を弱くする必要があるのかと苛立つと王賁は奪い返しやすくするためだと返す。列尾が強固の城であれば秦が落とし、手に入れれば今度は趙にとって不落の城になる、だから強固にせず、奪還しやすくしておき、列尾を抜いて敵が王都圏に侵入した時、大行山脈に伏せてある軍を南下させ、再び列尾を奪い返し、敵の唯一の出口を防ぎ、脱出口と補給線の両方を失った敵を王都圏の各軍でゆっくり包囲殲滅するという作戦だと説明する。
蒙恬は王都圏を狙う強行軍に対して逆に誘い込んで殲滅を狙って待つ防衛策なんて尋常ではないとし、練れるのは李牧唯一人だと一堂意見が一致する。
信は感心している場合ではないと焦るが、王賁はこの大遠征の本命である鄴攻めは列尾を不落として補給線を確保し続けることが絶対条件の作戦であり、その昌平君の大戦略が根元から粉々に打ち砕かれたのだと言い切る。
蒙恬は大将の王翦がいない席でこんな話をするのもなんだが、今俺たちには三つの選択肢があると思うと切り出す。一つ目は列尾に当初の予定以上の兵力を残して王都圏に突入する方法。弱いといっても城は城であり兵力さえあれば守りきれないことはない、ただしそれ程多くの力を割いて本命の鄴を落とせるか甚だ疑問が残るものであった。二つ目は列尾城の弱点を回収して敵の攻城戦に耐えうる城にすること。王賁はそれに一体何日かかるのか、李牧が戻って列尾より先に一歩も進めなくなると否定する。蒙恬は王賁に同意し、それではやはり第三の選択肢しかないと言い、全軍退却だと諦める。信は反発するが王賁は勢いでどうにかなるという戦いではなく、不用意にこのまま王都圏に侵入していけばこの二十万は本当に全滅すると言い切る。
楊端和は桓騎がほくそ笑んでいるのを見ると桓騎はやっぱ若ェなザコ共はと吐き捨てる。何でそこに第四の選択肢がないんだと言う。その作戦は逆にこっちからこの列尾を捨てて、全軍で王都に雪崩れ込み、兵糧が尽きる前に鄴をぶんどるという手であった。蒙恬は無謀過ぎると言うが、桓騎はそれが可能かどうか王翦が今走っているのだろうがと言った。





さすが李牧、恐ろしい作戦を思いつきますね。そして、それを王翦が見破り、いち早く動くと言うことまで見抜くとは相変わらずの怪物というところでしょうか。
桓騎の言った第四の選択肢ですが、仮に鄴を取れたとしても、列尾を塞がれたら、飛び地になり、李牧に囲まれて結局は殲滅させられるような気がしますが…
それとも二十万の軍を十分に養えるほどの兵糧が鄴にあるのか…それを含めて鄴に確認しに行くのでしょうかね
李牧であれば鄴の兵糧をすぐに運び出し、鄴を攻める価値のない城にしそうでありますが…
それならまだしも列尾を不落の城にした方がいいような気がしますが、そんなことを言ったら桓騎にザコだと言われそうだし、きっと黒羊みたいに防衛戦を張られて何も手出しができなくなるのだろうな〜

第510話 新兵達の夜

列尾城内では干斗が荒れていた。厳しい選抜を抜け、きつい調練を繰り返して来たのにいざ始まったら何もできなかったと叫んでいた。
そこに松左、崇原、尾平らが酒を持って現れる。干斗は大怪我したり、死んだりした奴がいる中で飲む気分にはならないと言うが、松左はだからこそ飲むんだ、一生に一度の初陣の夜の酒だ、どんな味かしっかり味わっておけと言うと干斗らも酒を飲み始める。
干斗は崇原に助けてもらった礼を言う。崇原は礼を言うくらいなら、さっさと強くなれと返す。松左はそれを聞き、あまりいじめるなよ、崇原だって初陣では一人も斬れずに小便漏らして終わったじゃないかと言う。干斗が本当ですかと崇原に確認すると崇原は本当だと返す。それを聞き、干斗らは少し安心する。
そして、隊長も初陣は結構恥ずかしい感じだったのかと尋ねると信は初陣の蛇甘平原ではいきなり敵守備陣の突破口を開け、窮地に馬一人で敵の大軍に突っ込んだり、初めて見た装甲戦車をぶっ倒したり、朱鬼だか麻鬼だかの敵将軍の首まで取ってしまったりと大活躍だったんだと懐かしむ。松左は信は十近く下のアホなガキなんだが、とにかく戦場じゃ誰よりもカッコいいと呟く。
尾平は今回、信の初陣までとはいかないまでも大武功を挙げた仁と淡を一番に祝いに来たと二人を探す。特に仁は山の民が城壁を登っても下から撃ち続けて三つの矢の筒が空になるまで敵を射抜きつづけたのであった。しかし、淡は一本も当たらなく、途中で撃てなくなったのであった。
そして、仁と淡の姿を列尾城を落とした後誰も見ていなかった。

淡は宿舎に一人塞いでいた。戦が終わった後、お前は少し反省しろと仁に頰を叩かれていた。

仁は一人で城内のある場所にいた。そこに貂が現れる。貂が初陣でいきなり大役を任せたことを詫びる。仁はそれは嬉しかったが、いざ始まると全部のことが思ったのと全く違ったと感じたことを言う。貂はまだ仁の手が震えているのを見る。仁は今まで一番力んで撃ち続けたことと、人を初めて撃ったからと言う。貂はきっと後者だと言い、震えてこその飛信隊だと言い切る。その優しさと弱さはこれから強くなれる証だと断言する。飛信隊はみんな色んな壁にぶつかって乗り越えて成長してきており、貂自身も戦いを操作し、相手や味方を殺すのも怖かったと語る。慣れはあるけど、弱さがあるから本当の強さを知れる、この手の震えは決して恥じるものではないと手を添える。仁はすっと立ち上がり、少し肩が軽くなったと貂に感謝し、淡を探しにその場を離れる。 

貂は列尾城で気づいたことを王翦に報告しようと王翦本陣を訪れるが、そこでは大きな騒ぎが起きていた。楊端和もそこに現れる。楊端和は騒ぎの原因は王翦が突如いなくなったからだと貂に教える。





さすが王翦…動きが全く読めない。これはきっと李牧の罠に気づいて、それを打破するために行動に移したと思われます。もしくは逃げたか…絶対に勝つ戦以外興味ないですもんね…
しかし、貂も気づいた様子ですね。さすが天下の大将軍になる隊の軍師。頼り甲斐がありますね。

第509話 矛の継承者

ついに戦場で放たれた強大なる力。信の手によって再び振るわれた王騎の矛は次々と趙兵を蹴散らしていく。その勢いは凄まじく、信が矛を振れば周りにいる趙兵は皆真っ二つに斬り裂かれたのであった。
尾平はそれを見て、信は将軍の矛をすでに使いこなしていると驚くが、羌瘣はよく見てみろと注意を促す。尾平は信の動きを改めて注視すると、信は豪快に振り遅れており、趙兵の攻撃を身に受けていた。信はこのクソ矛重すぎだろと叫ぶ。
信がもたついている間にシュンメン達山の民が城内に雪崩れ込む。我呂はボケッとしていると手柄を全部持っていかれると焦る。信は城門落としてもらっておいて中までやられたら、飛信隊が加わった意味がないと言い、中を制圧して城主を捕まえ、列尾を落とすと豪語する。

王賁率いる玉鳳隊が列尾に到着するとすでに列尾は秦軍に落ちていた。開戦してから半日も経っていなかった。
関常は望楼の上に気づき、王賁に伝える。王賁はすでに気づいており、その視線の先には望楼の上に旗を持った信の姿がいた。

趙国門列尾は陥落し、秦軍連合軍が入場する。蒙恬は何もしていないのに入れてもらって申し訳ないねと呟きながら入る。貂は渕さんに重傷者の手当てと動ける人間を信、羌瘣、楚水に集めるように指示する。尾平は一息ついたばかりであり、このまま宴だろと文句を言うが、貂は列尾はここからが忙しいと教える。
そこに貂の横に王翦が通る。王翦は部下に次々と城内の様子を解明させるべく、指示を出す。王翦の部下は飛信隊に対してご苦労だった、後は我々がやるため、指示があるまで待機しておけと命令する。
貂は秦軍は今この時から列尾を秦の城として、しっかり守らなくてはならなく、列尾城の全容を隅々まで把握する必要があったのだと言う。王都圏への突破口列尾をうまくこじ開けたが、鄴攻めが本命の秦軍にはこの列尾が呼吸口となり、兵站を繋ぐために確保し続けなければならなかったのである。

列尾までおよそ半日の赤馬丘では公孫龍が軍を走らせていた。そこに伝令が現れ、列尾陥落の急報が入る。それを聞いた部下達は城を手なづけていない間に取り返すぞと意気込むが、公孫龍は全軍停止させ、さらに反転し、前線を陽土まで退げて布陣すると指示を出す。部下は列尾を見捨てるのですかと言うが、公孫龍は落ちたら落ちたで奴らを術中にはめるまでだ、列尾には李牧が施した策が秘められていると語る。
そして、その時列尾ではまさに公孫龍が口にした李牧の施した秘策の存在に王翦だけが気づいていた。王翦はこの時、昌平君が練り上げた鄴攻めの戦略が音を立てて崩れていくのを感じていた。




まずはブログの更新が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。どうしても外せない私用がありまして、更新ができませんでした。

李牧の施した秘策とはなにか。
何となく、列尾が呼吸口として機能しなくなるということかなと思いますが、具体的には想像できないですね。
しかし、その存在に気づいた王翦はこの後どうするのか。知能の戦いになると思いますので、楽しみですね。

第508話 山民族の剣

バジオウはついに城壁に立つ。そして動き出す。バジオウの剣は凄まじく、城壁にいる趙兵は次々と斬り倒されていく。趙兵は盾で囲み、押し潰そうとするが、バジオウは飛び蹴りで盾兵を蹴り倒し、囲ませなかった。山の民はバジオウに続くべく、次々と城壁に登り、趙兵をなぎ倒していく。信はそれを確認し、突撃の準備を始める。
そして、ついに山の民は城門開閉の部屋を見つけ、城門を開けることに成功する。それを確認した飛信隊は突入を開始する。しかし、趙兵も待ち構えていたため、気合を入れて戦わねば返り討ちをくらう可能性があった。

干斗ら新人達は舞い上がり、伍を崩して一人趙兵に飛び込む。そのため、干斗の伍の内一人が趙兵に殺されてしまう。また、干斗も趙兵に体当たりされ転び、殺されそうになる。そこに崇原が現れ、趙兵を斬り捨てる。崇原は伍を崩すなと再度命令し、乱戦の中では生き残ることだけを考えて戦え、生き残ったら少しだけ褒めてやると言い残し、その場を離れようとする。
そこに歓声が響き渡る。趙兵の雷花騎馬隊が現れ、田有が倒されたのであった。干斗は雷花騎馬隊の力を見て、震え上がるが、崇原は心配するなうちには信がいると言う、
信は王騎の矛を振り下ろし、雷花騎馬隊長を両断する。





ついに信が王騎の矛を使い始めましたね。これからの活躍がさらに期待できますね。
しかし、また田有さんは斬られちゃいましたが、大して深くなさそうなので、彼にとってはかすり傷程度でしょう。しかし、田有さんはほんと不死身キャラだな〜

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