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第507話 仁と淡

緊張が走る仁と淡の初陣。兵士の死を目の当たりにして、戸惑い出す。楊端和は仁と淡を見て、信にお前達の弓使いはずいぶん子供っぽいなと言う。貂は隊の中でも最年少であるが、腕は間違いなく一級品だと断言する。しかし、信は二人はまだ人を撃ったことがないことを不安視していた。

鳥加族は盾を降ろし、弓矢を撃つ陣を構える。そこに仁と淡と仁と淡を守る飛信隊員も加わる。仁と淡を守る飛信隊員は鳥加族は城からずいぶん遠目に陣をとったなという印象を受ける。
しかし、淡は思っていたより近いと感じており、もっと後ろから撃ってもいいかと聞くと飛信隊員は敵の矢は全部盾で守るから安心しろと言う。しかし、淡はそうではなくてと続ける。
そのようなやり取りをしている間に鳥加族の射撃が始まる。城壁にいる趙兵は梯子を登ってくる山の民を矢で撃ち落としていた。その城壁の趙兵に鳥加族の矢が刺さる。それに合わせてバジオウの歩兵の梯子がかかり始める。信は流れが来ていることを感じたが、貂は仁と淡が矢を撃っていないことに気付く。
仁と淡は飛信隊員になぜ撃たないと問い詰められる。淡はここからじゃ敵の顔がはっきり見え過ぎると訴える。それがどうしたと返されると撃ち出したら、顔がはっきり見える相手を一方的にと淡が言うと仁はやめろと止める。仁は予想外なことが二つ起きているが、わかって来たはずだと言い聞かせる。予想外なことの一つは覚悟が少し足りなかったこと、二つは手の震えが止まらないことであった。仁は覚悟は今決めればいいし、この距離の弓なら多少の手の震えなど何の問題もない、自分達が撃てない間に梯子を登る味方を敵の矢が一方的に殺している、それを止める、今はそれだけを考えて、おれに続けと淡に言い、矢を放つ。その矢は城壁にいる趙の指揮官を射抜く。さらに仁は矢を放ち、次々と趙の指揮官を射抜く。仁は淡に続けと命令する。淡は一心不乱に矢を放つ。しかし、その矢は城壁に突き刺さる。何度も繰り返すが、全て城壁に当たっていた。淡はその場で泣崩れる。仁は十連だ見ておけと言い放ち、十射全て趙兵の頭を射抜いた。そしてついにバジオウが城壁に立った。



仁と淡の初陣ですが、仁は乗り越えられたものの、淡は未だに戦闘には慣れない様子ですね。
実力あるものが、実戦で使えるかどうかの瀬戸際なので、ぜひ淡も乗り越えほしいと思います。

第506話 山の民の攻城戦

楊端和の檄により火蓋が切られた列尾攻城戦。山の民は火球の如く列尾に突進する。
それを見た趙兵は城の中に戻り始め、矢の雨を浴びせようと待ち構える。
突進する山の民の中から一際速い部隊の飛馬族が飛び出す。その速さは凄まじく、城内に戻る兵に追いつこうとしていた。城壁の上から放った矢もその速さでかいくぐったのであった。焦る趙兵は兵が戻り切る前に門を下ろすよう命令する。
飛馬族は落ちる門をすり抜けようするが、間一髪門を閉める方が早く、激突する。激突を避けられた飛馬族は矛などで門を破壊しようと叩いた。また、持ち上げようと試みる。しかし、門は当然の如く閉まったままであった。
それを見た楊端和は大体うちはこんな感じだと言い、始めるかと城壁に梯子をかける。

一方、玉鳳隊は小休止に入っていた。そこに列尾攻めの報告が入る。また、城攻めが山の民と飛信隊だけだという内容は玉鳳隊員達を驚かせた。王賁は王翦の意図を自分の目で確かめると言い、走り出す。関常は素直に飛信隊が気になると言えばいいのにと言うと王賁はそれを無視した。

列尾攻城戦は山の民が矢の雨の中、城壁を登ろうとしていた。それを趙兵が必死に抵抗していた。それを見ていた羌瘣はこの城壁はしばらくは落ちないと見ていた。
楊端和は遠巻きに攻城戦の様子を見ていたが、ある攻めどころを見つけ、バジオウと鳥加族を呼ぶ。そして、信にそれを援護させるための腕の良い弓使いはいないかと尋ねる。
信はとっておきのがいると自信たっぷりに返す。




攻城戦始まりましたね。さすがに飛馬族の電光石火で終わることはありませんでしたが、あまり時間がかからず終わりそうな雰囲気ですね…

第505話 熱狂

趙の国門の列尾に到着した秦の連合軍。対峙する趙の軍勢に熱気と闘志がこもる。
趙兵は二日もすれば王都圏から大軍が到着するだろうが、それをあてにせず、近づく秦兵は皆殺しだと湧き立つ。
それを見た蒙恬は秦軍の数に逆に士気を上げてきたことに不安を感じる。また、楽華隊では王翦の飛信隊と山の民だけで列尾を落とさせるという作戦に疑問を呈した。蒙恬は城の作りはともかく士気の高さが厄介であり、国難に面した際の守る側士気で、城は何倍も強くなると感じていた。

秦と河了貂と楊端和、タジフらが並ぶ。河了貂は王翦の意図はともかく、やるからには自分達だけで列尾を落とすつもりでやる、しかも二日以内にと言い切る。それを聞いた楊端和は半日で落とすと断言する。城攻めは簡単であり、城壁を登って、裏に回り内から門を開け、部隊を突入させて中を制圧する、城壁を落とすのは山の民がやるので、飛信隊は門が開いたら中に突入できるよう準備をしとけと指示する。信と貂は楊端和の城攻めの甘い見通しに大きな不安を感じていた。
タジフは敵で城の外に出ている奴らがいる指摘する。貂は秦軍が近づけばすぐに城内に入る、背を打とうと焦って突っ込めば城壁の上から矢の雨を受ける典型的な戦術と解説する。さらに敵前に騎馬隊を出すという勇敢さを見せて自軍を奮わせる狙いもあると続ける。
楊端和は心配無用、山の民には山の民の戦い方があると言い残し、前に出る。今この地には百を超える山の族が集結しており、何百年も争ってきた大族まで参戦していた。どの族の長もこんなことは今まで起こり得なかったことで、全ては楊端和一人の存在であり、山界の死王と畏れられ、愛される女王一人の存在で山界の統一がなされたのであった。その楊端和はいつも敵を正面からねじ伏せていたのであった。
楊端和が一人前に出て、それを見た山の民の気持ちは最高潮に達する。楊端和は敵が何かさえずっている、あれが雄叫びとは片腹痛い、本物の戦士の雄叫びとはどんなものかと叫ぶと山の民の大声が地平線まで響き渡る。
それを聞いた趙兵に焦りが走る。
蒙恬は趙最大の武器の士気を正面から凌駕しようとしていることを見抜く。
そして、楊端和は山の民に血祭りだと号令を発する。





記事では少し省きましたが、楊端和の檄はなかなか凄いものでしたね。合従軍の際の蒙武の檄もなかなか凄かったですが、それに匹敵するかと思います。
やはり兵の力を最大限に発揮するために檄は重要なんでしょうね。
来週実際にどのように山の民が列尾を攻略するか楽しみです。
本当に半日で落としちゃうのかな…?

第504話 趙の国門

連合軍戦で初の趙軍との衝突。出撃したのは桓騎軍のみであった。干斗ら新しい飛信隊員は初めての実戦を目の前にし、緊張が走る。
王翦率いる本軍は桓騎軍に戦いを任せて行軍を続ける。それに山の民も続く。干斗らはみんなで囲めば数の差で圧倒できるのにと戸惑うが、貂は敵の狙いは足止めであり、全軍で付き合えば敵の思う壺であり、これが連合軍の強みでもあると断言する。今回の三軍はそれぞれが黒羊級の戦ならその一軍だけで勝利できるほどの強軍であり、この連合軍は三つの大局に同時に対応できると語る。
昌平君は鄴攻めでは戦が進み、戦局が複雑になればなるほど連合軍で臨んだ強みが発揮され、逆に発揮できねば勝ち目はなく、さらにそこに飛信隊、玉鳳隊、楽華隊の力が必要となる局面も必ず現れると話していた。
信は桓騎軍のことは気にせず王翦軍に続いて行軍すると宣言する。連合軍で一番重要なのは李牧を後手にしたまま王都圏に突入することだと続ける。

連合軍は行軍中に数度趙軍に道を阻まれたが、その都度王翦は別働隊をぶつけ本軍は着実に歩を進めた。つまり趙は秦軍の足止めを図ることは一切できなかったのである。
咸陽では順調な連合軍の足取りが伝えられる。予定よりも丸一日まいている状況であった。最初の目的地の列尾までは二日程度で到着する見込みであった。

夜、飛信隊陣営では主要隊員が集まっていた。貂が現状を説明し、もうすぐ列尾に到着すると話す。列尾は趙王都圏をふさぐ蓋であり、秦でいう国門函谷関であった。それを聞いた飛信隊の主要隊員は緊張が走る。楚水から王翦から列尾攻めの作戦は来ているのかと尋ねられると貂は何もないと返す。我呂は危惧するが、貂は列尾は手こずれば列尾奥の趙軍に固められるし、李牧も王都圏から戻って来てしまうため、電光石火で落とさなくてはならなく、出し惜しみはないと断言する。信は明日か明後日かわからなく、どんな役目が回ってくるかわからないが、しっかり気合い入れとけよと豪語する。羌瘣はそれを聞き、明日だと言い切った。

そして翌日、金安より進路を変えて十日目、ついに先頭を行く王翦軍は列尾に到着する。王翦軍の斥候の報告によれば列尾には大軍は到着していない状況ということであった。
王翦は楊端和と飛信隊を前に呼ばさせ、列尾は奴らに落とさせると言う。



まさか王翦は国門すら素通りで行くつもりですか??鄴までは王翦軍本体は一切戦をせずに進み、鄴を一気に攻め落とすということなんでしょう。
速さが最重要の戦いであるからこその選択だと思いますし、さすが戦局全体が見えているのだと思います。
楊端和率いる山の民と飛信隊連合軍の戦いは楽しみですね。早速王騎の矛が炸裂するのかな〜

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