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第461話 黒羊の大一番

飛信隊が作り出した趙軍圧倒の最大の好機。黒桜軍は桓騎の指示が来次第、すぐ動けるよう行軍の準備をしていた。今、桓騎軍は絶好の戦況にあり、いかようの手を使っても大いなる戦果を望める状況にあり、それ故桓騎がどんな手で攻めてくるかわからなかった。河了貂は桓騎は頭脳で勝負する将軍であり、策を我流で生み出す天才と評していた。

桓騎が口を開く。それはオギコを呼べというものであった。

紀彗は飛信隊への守備を固めていた。しかし、秦軍がどう動いてくるかわからない状況であるため、外を固めすぎずに柔軟さをもたせていた。劉冬、馬呈が到着すれば飛信隊の脅威は半減するが、それは桓騎も承知の上であるため、刻との勝負であった。紀彗は劉冬達が到着すれば反転攻勢の芽も出てくると踏んでいた。

慶舎は丘の頂上で桓騎の匂いを嗅ごうとしていた。足音が聞こえ、鼓動も伝われば、桓騎の心臓を握る潰せると期待に胸を膨らませ、顔には笑みを浮かべていた。

そして、今まさに両軍の主要な目が桓騎の一挙手一投足に集中していた。

太陽が高く上がり、両軍の将は桓騎の動きを待っていた。

しかし、桓騎は一切何もせずに三日目を終わらせたのであった。それは戦場にいる全ての将の想定から外れていた。
紀彗は桓騎はあえて動かなかった。しかし、動かなかったが、直感で何かをしたというのだけは感じていた。




絶好の好機にあえて何もしない、何もしていないのか、誰にも気付かせずに勝利のための楔を打ったのかはわからない。
戦場にいる将どころか読者全ての期待を裏切る桓騎は恐ろしいですね。

敢えて予想するのであれば、相手を精神的に翻弄したのでないかと推測します。紀彗が何かされたと感じたようにありもしない罠を勝手に想像し、動きを制限する、慶舎に対してはより桓騎に意識を集中させ、他を見えなくする、こんなところと想像します。

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