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第523話 秦軍右翼の刻

王翦は蒙恬の隠れた真価を鋭く捉え、見事に左の役目を果たした暁には我が側近として幕僚に加えてやってもいいぞと勧誘する。しかし、蒙恬は笑えない、おれを入れるくらいなら、その前に入れるべき男がいるのでないかと拒否する。

趙軍左翼は三万の兵力を備えていた。馬南慈、岳嬰、趙峩龍がおり、馬南慈がこの中で誰が一番槍を務めるかと言うと岳嬰はおれが行くと前に進もうとする。
馬南慈が勝手だぞと止めると岳嬰はお前たちのことはほとんど知らぬ故、そんな奴らにこの戦場の第一刃を任せられないと睨み付ける。
趙峩龍は李牧の副官という肩書きで只者でないことは十分察しがつくと思うがというと岳嬰はお前こそ誰だと問う。それには馬南慈が答える。趙峩龍は元趙三大天藺相如の側近であり、中央にいる尭雲と二人して、長年王都圏の秩序を守ってきた影の英雄だと説明する。さらにわかりやすく言えば同時期の元趙三大天廉頗の側近、介子坊、輪虎の類の男だと付け加える。

秦軍右翼は亜光軍二万が横陣を敷き、その後ろに玉鳳隊がいたが、まだ指示が来ていないことに混乱が走っていた。そこに亜光が王賁の目の前に現れる。亜光は王賁に作戦を伝えに参りました若君と口を開く。
開戦の激突は亜光が請け負う故、玉鳳隊は横陣には入らず、乱戦の場から離れ、本来の持ち味を出す遊撃隊になり、好機が来たら伝者を送る故、それまで待機をと指示すると王賁は誰が練った策だと問う。亜光は王翦と自分で練った策だと答える。王賁は愚策だと切り捨て、玉鳳隊は一万の敵とも対等に戦う力を有しており、兵力で劣る秦軍は玉鳳こそ中に入れ、力の拮抗を図って然るべきだ、玉鳳隊を横陣の左端に組み込め、左から戦局を動かすと言うと亜光はそれでは初日から玉鳳隊の血が流れ過ぎると否定する。それを聞いた王賁は怒り、妙な特別扱いをするな、この状況で玉鳳隊を外に外す真っ当な理由はないと怒鳴ると亜光は自惚れなさるな、誰も貴方を特別扱いなどしていない、これは良くも悪くも双方の意見ですと諭す。
それを聞いた関常はさすが亜光はわかっていると感じる。王翦が策に関わったとするなら王賁を本戦に加えられなかったのは傷つけぬための親心ではなく、期待されていないという判断であると認識する。
そこに敵の第一陣が動いて来ており、亜光にすぐ戻るよう依頼が入る。亜光は最後にこの開戦の時に亜光自ら伝えに来た重みを汲み取っていただきたい、玉鳳隊の力が必要な時、その力が半減していては戦術がそこで終わってしまう、どうかその時が来るまで冷静に、案じられずとも右の戦場は亜光軍、玉鳳隊が共に死力を尽くさねば勝ちは見えてこないと諭す。

趙左翼第一陣は岳嬰軍でその数はおよそ一万であった。亜光はそれを見て、自ら一万を率いて出陣する。
関常は王賁に亜光は小細工を好まぬ武人であり、正面から堂々と思いっきり敵にぶつかりに行く、兵士も亜光の分身みたいな奴らばかりなので、何の恐れも抱かず突き進むと語る。

そして岳嬰軍と亜光軍がぶつかる。関常は王賁に父君に認めてほしいなら、王翦が最大の信頼を置く、第一武将亜光の戦いをよく見ておくといいと語る。





遂に右翼の戦いが始まりしたね。王翦は家族であろうと勝つための一つの駒としか考えないのでしょうね。ドライとは思いますが、理解はできますね。
でも王翦なら王賁をこういう扱いをすると逆にプライドが傷ついた分、粉骨砕身で戦うということを予測してるということを期待しています。。。

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総大将・王翦

王賁…父・王翦との〝確執〟は「自らの実力をいつまで経ってもまともに評価してもらえない点」なんだろうな。王賁は王翦をきっと尊敬もしてるだろうし、一日でも早く王家跡取りとして父に認めてもらいたい一心で、日々色んな部分で鍛錬を怠っていないのに。

王翦は王翦で息子に期待する所かその同期の蒙恬の実力を高く評価し、最終的に〝勧誘〟までするという…でも蒙恬は「貴方の息子さんは今や貴方が思う以上に成長してますよ」と言いたかったんだと思う。王翦からすれば「自分一人の部隊で事を成そうとするとは片腹痛い、私が何の為に関常を派遣したと思う?お前は一度でもあやつを含め亜光・麻鉱らから(何かを学び取ろう)と思ったのか?」という事を暗に言いたいんだろう。要は王賁自身が貪欲に諸先輩の戦いを〝素直〟に学び取る姿勢を王翦は見たかったんだと。

そして図らずも〝その機会〟を今回の布陣から王翦は息子に伝えたかったのだろう・・・・・・・それはそれとしてあの亜光の獅子奮迅の働き、彼の実力を知る由も無い岳嬰があっさり討ち取られる絵が浮かんで仕方ない。
by 総大将・王翦 (2017-07-06 08:37) 

かずお

前回の左翼蒙恬に関わる兵の配置で結果中央が手薄になる分、李牧は見逃さず来ると思ってましたが…今回は王賁でしたか。未だに全容解明されてない王翦将軍の将校達、少なくてもロクオミ…漢字忘れた…以上の評価はあるのかな?防御力は壁将軍以下と思われますが、将校1人欠けただけで一気に穴が空くと思われる今回の戦い。咬ませ犬にはならないで欲しいです。

仮に左翼、右翼共に苦戦と李牧が受け止めたら中央…王翦将軍…を仕留めに来るのか、甚大な被害を回避して全軍離脱からの皇太子擁立、そして遷都。残された馬鹿王は散財した挙句に都に火を放ち道連れ狙うかな?と徹底抗戦するのかなと邪推。

一年後位っすよ?この展開。それ以上に目先の闘い、用兵、戦術展開と読み合いと覆す若き三人の将校の活躍に期待です。
by かずお (2017-07-07 07:01) 

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大軍の乱戦の中、攻撃力のある遊撃隊で敵将軍の首を取るという作戦は、
左翼の蒙恬と同じですね。
でも、蒙恬と違って、その事に気づいていないし、突撃のタイミングは自己判断ではなく伝者に伝えてもらわないとできないし、
そもそも遊撃軍の事を事前に策と伝えていないと亜光将軍の大軍と一緒に突っ込む気マンマンだったりと、
戦術眼としては皆まで言わずとも王翦の意図をくんだ蒙恬の方が遥かに上ですね。

王翦が王賁ではなく蒙恬の方を側近に加えたがるのも当然の判断だと思います。
by お名前(必須) (2017-07-08 10:24) 

しゅうしゅう

不思議なことに、趙は王騎を破った時以外は
全部秦軍に負け。

それなのに、将帥も兵も充実という不思議ぶり。

まあ、戦線が縮小した分、充実したのかもしれないけども。

あと、廉頗の付き人たちと
りんしょうじゃの付き人たちは比べ物にならないのでは。

なぜなら、前者は戦に出まくっていたわけだけど
後者は内政が第一なわけで、
さすがに、りんこや介子坊クラスとは行かないのでは。
by しゅうしゅう (2017-07-10 01:23) 

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