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第520話 火蓋を切る

秦趙両大軍が対峙する。空気が張り詰める中、秦軍陣形の不可解さに一同に動揺が走っていた。信は飛信隊を中央軍に置くのであれば前かせめて横に並べろよと文句を言う。信がいる最後尾では戦場が全く見えなく、これでは飛信隊が李牧を恐れて隠れているみたいだと言う。貂はそれを聞き、王翦は飛信隊を敵から隠すために最後尾にしていると勘付く。羌瘣は左側に注意を払った方がいいと話す。この戦いは左側から動く、この布陣では左翼の方があまりに深刻な状況だと続ける。

趙本陣に秦の布陣が伝えられる。李牧はそれを聞き、開戦前から仕掛けて来るとは意外と大胆だと感じていた。
戦はそれぞれ戦いやすい局面から始めるのが常であり、そういう意味で秦軍左翼の五千という数字は極端に少なく、あからさまな挑発行為であった。それはさっさと左翼を攻めて来いという王翦から李牧へのメッセージである。李牧はここで二択を迫られる形となった。王翦の挑発通り秦軍左翼五千に紀彗軍で構成される趙右翼三万をぶつけにいくか、王翦の怪しい誘いに乗らずにそれ以外のところから始めるか、李牧の選択は前者であり、紀彗に秦軍左翼五千の殲滅の命令が下る。
これが王翦軍対李牧軍の開戦の号令であった。

楽華隊に趙軍右翼三万が真っ直ぐ向かって来ることが伝えられる。蒙恬はであれば仕方ないと出陣する。じぃは老体では主力騎馬隊には追いつけぬとし、陸仙に蒙恬のことを頼む。じぃは陸仙の矛の実力や機転を認めての依頼であった。陸仙は三万の敵にこの楽華隊五千で挑む王翦の無茶振りにも全く動じない蒙恬は大将軍と同じ目線で戦がみえており、もう若君扱いを止めた方がいいと諭す。

紀彗は全軍停止し、しばらく様子を見るとした。そこに前線の物見より敵の左翼五千がいつの間にか半分になっているという報告が入る。消えた半分は蒙恬が率いて紀彗軍の右の横腹をえぐったであった。
紀彗は右軍を右向きに陣を敷き直させ、騎馬隊に蒙恬の背後に回らせようとする。それをみた蒙恬はその場から離脱する。しかし、紀彗軍の放った騎馬隊は蒙恬達を追いかける。ところが、その騎馬隊に別働隊の陸仙の矛が突き刺さる。蒙恬はようこそ狩り場へと語る。




ついに苛烈の戦いが始まりましたね。王翦の誘いに李牧は乗った形になりますが、機先を制した蒙恬は流石ですね。李牧でも測れなかった王翦の意図を理解して動いた蒙恬はやはり頭脳ではすでに大将軍級であることは間違いないと思います!!
ただ、左軍の戦いは蒙恬は善戦はするだろうけど、紀彗、馬呈が出てきたら、流石にきついと思うので、次の手がどうなのか気になるところですね。そこにきっと王翦の誘いの片鱗が出て来ると思います。

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総大将・王翦

今号まさに〝兵は神速を貴ぶ〟だったな。いやぁ流石は戦の天才・蒙恬、機動力・連携から何から華麗な動きだった。兵の多寡をものともしない働きは良いとして・・紀彗はこの後どう動くのだろう…とにかく現状、防御陣形が急務だろう。でなけりゃ本当に〝狩り場〟と化すだろうし。

飛信隊の役割としてはやはり左翼の援護ではなかろうか?敵の目の届かぬ内に飛信隊お得意の〝突破力〟でもって紀彗・馬呈らの精兵を駆逐してほしい。

にしても王翦、李牧が〝後者〟を選んでいたならどの様に軍を動かしていたのか気になる。李牧も李牧であえて王翦の挑発に乗るのも戦術を練る上で必要だったのか。まぁひとまず様子見だろうが。
by 総大将・王翦 (2017-06-15 08:29) 

もしゃ

いよいよ始まりましたね。
私は紀彗がやるべきことは防御陣形ではなく、主導権を握るべく攻勢に出ることだと思います。ただでさえ数の利がある以上は、小細工無用に思えるからです。半包囲体制を取りながら正面に残る残存部隊を飲み込み殲滅にかかりつつ、騎馬隊で蒙恬らは牽制・・・私ならそんな対応をしてしまいますね。

しかし、じぃの振る舞いが個人的にはウルっときました。彼にとっていつまでも若なんだろうな・・・。じぃにも陸仙にも生き残ってもらいたいものです。
by もしゃ (2017-06-15 16:38) 

しゅうしゅう

信でも苦労した馬呈を止められる武の持ち主が蒙恬の元にいるんでしょうかね。

それとも、ジイいわく王賁並の矛の才を持つという陸仙が活躍するのでしょうか。

平地ですし、数で1/6程度の隊がいくら策をつかっても、そのうち削られていくでしょうから、

王翦は、いつ飛信隊を繰り出すか、その辺を考えていそうな気がします。

by しゅうしゅう (2017-06-15 18:05) 

先読みのシャア

飛信隊は貂が言った通り、隠されたんでしょうね。今回の秦軍の陣容を見渡しても、飛信隊が突破力NO.1でしょう。だから、王翦はわざと隠して、ここぞと言う時に、飛信隊を出撃させるんじゃないでしょうか?
その出撃のタイミングを早くするために、左翼を楽華隊のみとしたのでは無いでしょうか?
楽華隊は、さすがに戦上手で紀彗を苦しめるでしょうが、数が違う為、きっと窮地に陥るでしょう。そうなった時に、王翦の中央軍が軍を分けて、助けに入る。これを好機と捉えて、李牧は陣形を崩して、攻めにくるはず。この時こそ飛信隊が出撃する、絶好のタイミングと思います。出てきた相手の真っ只中を突っ切るには、飛信隊の武力が物を言うはず。
今回は飛矢の役割でなく、大槍の役目が飛信隊なのでしょう。
王翦の作戦は、王騎が蒙武を助ける時に取った戦法と同じと思います。相手の陣形を崩すには、相手に動いて貰うのが、一番です。あの時は、大槍の騰を最初に出撃させたけど、今回は最後の最後って感じでしょうか?
by 先読みのシャア (2017-06-16 23:15) 

ポンコツ

蒙恬が思いの外、奮戦した事で…
キスイ側もイッキに数で叩き潰しに来るかもしれませんね。

キスイが動いたところで、中央軍が突如現れ
攻撃?
by ポンコツ (2017-06-17 18:07) 

トストス

楽華隊五千だけでは、遅かれ早かれ押し込まそう。それを見越した上で、王翦将軍の次の打ち手が楽しみですね。

楽華隊の騎馬隊で、敵の陣形に揺さぶりをかけた上で、別の戦地に送った壁の援軍が実は左軍への奇襲の別働隊だとしたら、形勢逆転の一手になるかもと思いつつ。
さらにその中にゼノウ一家がいれば、なんて妄想してしまいます。

ただ、壁にはゼノウ親分は制御不能か、、、
by トストス (2017-06-18 15:30) 

昭王

飛信隊の出撃の際には仁と淡の活躍に期待したい。

今回のような戦いでは二人の弓が威力を発揮するだろう。
by 昭王 (2017-06-18 15:51) 

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