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第496話 激動の起こり

始皇十年、黒羊戦に勝利した秦国だが、国内に目を向けると、この年は前年の嫪毐反乱の衝撃から秦国が一歩前に進んだ年とも言える。呂不韋は嫪毐事件と関わり有りと裁かれ、脱官した。また雍に幽閉されていた太后が咸陽の甘泉宮に戻された。
冬は一転して静かに日々が過ぎ、灼熱の始皇十一年の幕があける。

昌平君、昌文君、介億、蒙毅の四人は情報漏れを防ぐために四人で鄴攻略を練っているものの、一つも突破口を見つけることができないでいた。合従軍に攻められた時はギリギリで戦略を立てられたものの、今回は十分に時間を費やしても、策が浮かんでこなかった。介億には鄴攻めは無謀すぎるかと諦めの心が芽生え始めていた。
そこに政が現れ、難解な戦いを挑もうとしているのは分かるが、攻略の策がしっかりと立たぬ限り、鄴攻めの号令はかからないと釘をさす。昌平君はわかっていますと返事をする。介億は蒙毅に一番の問題は何だと考えると問うと蒙毅は兵站であると答える。兵站は軍隊の進軍の道筋、また前線部隊への補給、増援などの道筋のことであった。蒙毅は前線より奥にある鄴まで兵站を繋ぐのにとにかく時間がかかってしまい、趙軍に鄴攻めがかなり手前で悟られ守備軍の動き出しが早まっていると考えを述べた。
昌平君はならば兵站をつなげぬ手で始めるとした。蒙毅は危険すぎると止めるものの、模擬戦でどのくらい危険か探るのだとし、誰にも見えておらぬ道を探すのだ、必ずどこかに答えに辿り着く道の入口があると断言する。

飛信隊では河了貂が年末に昌平君より早めに練兵を仕上げておけという伝令がきたが、その後に伝令が来ないことに疑問を感じていた。河了貂は年明け早々に飛信隊は前線に送られるものだと思っていたためである。
秦東部前線の先では蒙恬が李牧指示の築城の完成度の高さに驚いていた。無理にでも黒羊から討って出て趙の画策を妨害しなくては趙西部はとてつもない膠着状態に陥ると感じていた。そこに昌平君からの伝令が来て、蒙恬のみ咸陽に戻るよう指示が下りる。王賁にも同様の指令が来ていた。また、信と貂にも指令が下りる。
四人が咸陽に揃うとそこに昌平君と昌文君が現れる。




来週、四人に鄴攻略の作戦が発表されるのでしょう。李牧に鄴攻略を悟られないために将軍級を動かすのではなく、若き新星で形成するとは非常にワクワクしますね。しかし、総大将は誰になるのだろうか…ここはぜひ昌平君でお願いしたいところだが、咸陽を離れる訳にはいかないかな

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王翦

あれ程の悪事を黒幕として働いた呂不韋が〝斬罪〟ではなく〝脱官〟という寛大な処遇で済むとはやはり腹が立つ。

「逐客の令」に関しては李斯の発言ごもっとも。国籍不問の実力主義だからこそ秦のこれまでの飛躍があるのだし。

それにしても秦が誇る〝頭脳集〟を四人駆使しても鄴に届かずとは、李牧の備えは予想以上なんだろう。昌平君が無精髭で盤面と真剣に睨み合う姿は合従軍編以来か。

そして兵站をつなげず神速に鄴を陥すとは具体的には解りかねるが、とんでもない発想だな昌平君。筆者も蒙毅同様に危険以外考えられない…しかし、盤面を見るに一軍のみ鄴の城壁を越えるとは…一体何が決め手だったのか興味深い。

最後に久々の〝新世代三人〟彼らを駒として昌平君はどこに配備するのだろう・・・鄴攻略軍は筆者も攻城戦・山岳戦に功があり、なおかつ長けている王翦・桓騎・楊端和は外せぬとして、↑の若手三人を彼らの下に付けるのではなく、三人を〝囮〟として別働軍の名目で使われると愚考するが、それはそれで彼らを束ねる主将が不可欠だろうし、魏の呉鳳明を牽制している大将軍・騰を呼び寄せるにしても疑問だし・・・はてさてどういう人員配置となるか昌平君らの言葉を早く聞きたい。
by 王翦 (2016-11-10 08:19) 

N村

 何らかの理由はあるのでしょうが、趙がそれほど守りを固めていたら、まず、韓と魏を攻め滅ぼして、趙を西側 と南側から圧迫して、李牧のいない面を主攻にすれば、うまくいけませんかね? 兵站も問題なくなりそうですし。
by N村 (2016-11-10 11:30) 

ましゃ

いよいよ信ら若手の出番ですかね~。ただちょっと引っかかるのが鄴って史実だと魏領との資料も。兵站を考慮せず・・・もしかしたら魏と政治的取引をするのかな?あるいは黄河があるので、運河を使うか・・・。何にしても楽しみですね。
by ましゃ (2016-11-10 14:36) 

お名前(必須)

徹底した情報操作をすると思いますので、本当の作戦は分からず、最後の最後でそうきたかーとなるんでしょう。楽しみです。
by お名前(必須) (2016-11-10 14:41) 

しゅうしゅう

最後の方のコマで鄴への侵攻作戦の目処がたったと暗示しているような。
李牧も趙の宰相ですから昌平君が主力を率いて、李牧との戦闘になったあと、奇襲部隊が鄴への進行を目指すのもありなのかな。

他の地域にも敵はいますから、前線の将軍はそんなに配置替えしにくいでしょうし。
by しゅうしゅう (2016-11-10 17:01) 

先読みのシャア

確かに、ましゃさんが指摘された様に、鄴は魏の都市として解釈されてる人もいますね。でも趙の都市と解釈されてる人もいます。私も気になってました。
この鄴と邯鄲は魏と趙の国境に近い位置にあります。しかも鄴は川沿いにある。だから、まず、王賁、蒙恬、信の3人で魏に攻め入り、川に拠点を作る。その拠点から、王翦、桓騎、揚端和の部隊が水軍として、一気に鄴の喉元に進行する。2隊で趙の防衛部隊を阻み、残る1隊で城を攻略する。それが、軍略会議の駒が表してる意味では無いでしょうか?城を攻略するのは王翦でしょうね。この3隊で一番、城攻めが上手いと思います。
信ら3隊は注目株なので、フェイクの役目になるし・・・
今回の作戦で一番のキーポイントと思います。後々、この拠点が魏への進行にも使える。補給としても重要になる。
ただし、すぐに作戦が証されないでしょうね。次回からいよいよ、新たな戦いが進行して行き、徐々に作戦の全貌が描かれると思います。楽しみです。
by 先読みのシャア (2016-11-10 21:06) 

かずお

?攻略は囮?と思ってしまったかずおです。しかし邯鄲への牽制を兼ねるとなれば、攻めるフリでなく本気と思わせねばなりません。作戦は駒の配置を見る限りですが、以前王賁が魏戦で示した3点同時攻略かな?と。?への連携を許さず左右の2隊が主攻の?攻略を後押しするのかな?と。なれば邯鄲は必然的に南方に向きます。そこへ本命の軍を当てる?と妄想しています。本命とは桓騎軍、前回に李牧達が言ってた弱点発言を回収出来ます。李牧対桓騎がこのシナリオの山場と当たらない先読みしてみました。
by かずお (2016-11-10 22:11) 

かずお

…あれ?都市名・ギョウが表記されねぇ。?マークになっちゃっている。グスン。
by かずお (2016-11-10 22:13) 

下っ端

逐客の令、数コマで終わりましたねw 意外...
呂不韋は脱官とはいえ、流石に余罪含めて糾弾されてそう(中途半端に裁くと元呂不韋勢力が拡大し兼ねませんし)。

さておき、個人的に一番気になったのは、「兵站を絶った戦略」というもの。前提とはいえ、まあこれが現実的な感じなのですが謂わば犠牲(リスク)を伴った攻め。その被害を恐らく被るであろう人は... 彼かな?って目星は皆さんにもあるはず。

何となくなんですけどね、李牧が言ってた奴の弱点って、軍としての横の繋がりがない、とかそんな感じだと思うんですよ。向こうも向こうで、その兵站の点を付き、ターゲットを孤立させに来る、と。
by 下っ端 (2016-11-12 00:54) 

伊世

う〜ん、呂不韋は牢に繋がれてはいないのか…今後、表舞台に出てくる事はあるのかな。自分のした事、少しでも反省していたらいいのですけれど(そんな人でもないけれど)。

わぁ、王賁登場しましたね。ほぼ一年振りですね。そうか、王賁は魏にいたんだ。王賁て蒙恬とは連絡を取り合っているのかな。…信とは相変わらずですね…いい歳したオッサンになってもケンカしてたりして(笑)。著雍の戦いの時に王賁は騰に対しても録鳴未や隆国にも'賁様調'で話していましたが、昌文君や昌平君にはちゃんと丁寧な話し方をするのでしょうか。

飛信隊、玉鳳隊、楽華隊にどんな指示が出されるのか、楽しみですね。
by 伊世 (2016-11-12 17:52) 

お名前(必須)

この3隊の総大将はかって独立遊軍として王騎と共に
戦った昌文君かな・・・独立遊軍の使い方に離れてそうだな。確かに、現場からしばらく離れてるけど、直近では蕞でも戦ったしね。
by お名前(必須) (2016-11-12 19:23) 

けん

史実ではおうせん、カンキ、ようたんわでぎょうをせめる。
途中でおうせん総大将で少数精鋭にて食料問題解決してぎょうおとすが、誰の作戦にするかが見所ですな。
by けん (2016-11-13 12:33) 

お名前(必須)

史実がどうとか皆さんあえて言ってないのわからんのやろねー
by お名前(必須) (2016-11-14 10:21) 

ましゃ

気になったので二度目のコメントを。
史実でも不明なところも多ければ、専門家でも解釈がわかれるところも多いですからね。確かに史実では王翦・桓騎・楊端和の三名・・・史実では王翦が途中で軍を一つにまとめ・・・と記載があり総大将は王翦と解釈する方、途中で総大将になったとか解釈する方、別の総大将の指示によってと解釈する方・・・様々です。(そもそも途中で総司令を変えるなんて非合理的ですし・・・)
その後の少数精鋭にして兵糧削減・・・というのも記載はあるものの、それだけとも思えない。他の将も独自に動くでしょうし、現実問題として王翦は資料が3将の中では際立って多いですからね・・・楊端和など記載が少ないため如何様にも書けますし・・・。あくまで三将連携が今回の肝。同列の将軍3名から総大将を出すのか否か・・・現将軍の序列が問題かな。
by ましゃ (2016-11-15 09:16) 

伊世

すみません、私も二度目の投稿をさせて頂きます。

桓騎の弱点ですが、それを見つけた慶舎が討たれてしまったので、明確には言えないけれど、軍としてのまとまりの無さかな…と思います。

桓騎軍の強さ、形に嵌まらない戦い方は秦の国には必要なものです。しかし乱戦の最中、誰かが笛を吹いて桓騎の周りに誰もいなくなったら…散り散りになって逃げ延びたとしても、その先に敵兵が潜んでいたら…本営が他国の住民への暴虐、略奪を一切禁じたら、桓騎軍の兵は桓騎の命令に従うのか…他にもあると思いますが、こういったところかな、と思うんです。

慶舎は討たれたけれど、李牧も気づいていますよね。趙との戦い、桓騎が李牧と戦うのなら、李牧はそこを突いてきますよね。どんな風に暴かれていくのか、ちょっと気になるところです。
by 伊世 (2016-11-17 16:22) 

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