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第489話 蔡沢の矜持

昌文君は王建の実質的な斉の降伏宣言に驚きを隠せないでいた。政がそれを受け入れたことにより、戦わずして六国制覇のうちの一国が成ったのである。
政は蔡沢がこれほど強引に動いて斉王を咸陽まで連れてきた理由がようやく分かったと言い、斉王と蔡沢に感謝の意を表す。
王建は政にあまりぬか喜びをするなとし、ただの口約束であり、秦王の姿勢が変われば斉も大いに牙をむく、それが判明するまで斉は秦の戦いの一切を静観するものだと言う。
しかし、政は三国の後押しをしないというだけで、秦は十万単位の兵の命が救われたことになるとその効果を説いた。
王建はそれに同意し、ならばやはり蔡沢に深く感謝するが良いと話す。
蔡沢は感謝するのは自分の方だと話す。かつて斉王とは違う視点から世を導く道を探す時代があったが、勝手にもはやその道はないものばかりと考えていた。しかし、政は雍にて呂不韋との舌戦の中で光を教えて下さった、その言葉に芯から痺れ、長生きしてよかったと感じていた。しかし、道も光も戦のない世界も実現できねばただの稚児の戯言と同じであり、中華統一実現の最大の障壁は何かお分かりですなと尋ねると政は李牧だと返す。
蔡沢は李牧はと語ろうとすると苦しそうに胸を強く掴む。王建はそれを見て、李牧の目は常に秦に向いており、斉は趙李牧の背を長年見続けていたが、黒羊での敗戦はあるものの、まだ李牧には余裕があり、それを感じ取らせぬようにしているという印象があったと語る。
王建は趙三大天李牧は想定しているよりもはるかに強いぞと忠告する。政は王騎、麃公を討たれ、李牧が化け物であることは承知しており、李牧を倒さねば六国制覇が叶わぬことも重々承知であるが、これから出てくる秦の大将軍達が必ず李牧の首を取ると断言する。
それを聞いた王建はならば本殿にて待っている李牧の元へ行けと言う。あまり待たせると会談の中身の重さを李牧に勘づかれる恐れがあったためであった。
蔡沢は急いでその場を立ち去ろうとする政に対し、にこやかな笑顔でご武運をと送り出す。
政と昌文君が立ち去った後、王建は何とかもったな蔡沢と語りかける。王建は蔡沢の言う通り千年に一人の王であり、政の中華統一の可能性を感じていた。
しかし、蔡沢からは何の返事もなかった。蔡沢はその場で息を引き取っていたのである。
史記によれば蔡沢は燕の人で身一つで遊説し、秦にたどり着き、当時の絶対権力者丞相范雎との舌戦によりその席を譲り受ける。以後、昭王、孝文王、荘襄王、嬴政と四代の王に仕え、その間祖国燕にても重職についた稀有な政治家であった。



まずは来週キングダム休載ですのでご注意下さい。
蔡沢は外交における最大の功績を残しましたね。王建の性格を見抜き、政と引き合わせることにより、一国を無傷で降伏させた。蔡沢も外交における傑物であることは間違いないですね。
さて、ここからは李牧との会談ですが、政が中華統一への真意を話すのかどうか…やはり警戒されないためにも話さないでおく方が良い気がしますが、李牧には見抜かれちゃうのだろうな〜

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王翦

蔡沢逝くか…真に彼が秦にもたらした功績はあまりに大きいし、かつては名丞相・范雎の後任として数ヶ月ではあるが丞相を勤めるも、佞臣の讒言でその座を退いたとか。元は遊説家の身ゆえに致し方なかったかもしれないが。

それにしても事切れるまでに政に伝えるべき道を伝えれてよかった。「強き者にのみ仕える」という彼のポリシーは、あの雍での舌戦の折に既に形になってたんだろうなぁと感じた。やっぱそこまで心酔したんだろうし。

最期の「ご武運を」〜安らかな死に顔まで筆者、心に結構ジーンときた。そして蔡沢の異変を感づいた政の表情も印象に残った。さて、ここから政は〝来るべき趙との大戦〟を前に如何な舌戦を李牧と繰り広げるのか楽しみだ。
by 王翦 (2016-09-15 08:34) 

お名前(必須)

蔡沢ー!!!初登場から大好きなキャラだった…。最後の仕事は流石の一言。お疲れさま。
by お名前(必須) (2016-09-15 20:36) 

かずお

まさか来週李牧の予想も外したかずおです。先読み様〜〜俺の方がヘタレですぜ、もう病み付き。李牧に悟られるリスクは同行して来ている時点で選択肢に入っているのでは?ならばその状況を暗に利用して秦…政…に仕掛けて来る気がします。直接対談は初めてなので腹を探る会話に繋がるのか、単刀直入か李牧の一手が楽しみです。政は駆け引きをするタイプではない様子。会話噛み合うのかな?

おじいちゃん、お疲れ様でした。前から調子悪かったのに秦…否、中華平定の為に走り回ってくれました。合従軍ももし斎が加入してたら負けてた…そうしたら中華の歴史が変わってたのかもと思うと剛成君・蔡沢の名は信念の士と刻みます我がキングダム愛に。
by かずお (2016-09-15 20:53) 

伊世

蔡沢が亡くなりました。呂不韋側の人でしたから、活動は制限されるのかなと思っていましたが、最期に大きな仕事をやり遂げましたね。蔡沢、見事です。いつか政側に付いて秦の為に働くだろうと思っていました。惜しい人を亡くしました。政の言葉と姿に、秦の国の確かな未来を感じ取った事でしょう。蔡沢、安らかに…王建王も人間の大きな王様ですね。

次回は李牧との会談ですね。李牧、「サイでは完敗でした」とか言わないかな?年月経っているけれど。

先日、「歴史秘話ヒストリア」で、少年時代の始皇帝を取り上げていました。合従軍の事も出ていまして、何と楚の国は本当に象さんを連れて来ていたのですね!「ひとそえの'かわいらしさ'」ですね(笑)。
by 伊世 (2016-09-16 17:32) 

先読みのシャア

かずおさん、私も同じですよ、今週、李牧との対談があると、期待してました。(汗)
しかし、良い意味で外れて良かったと思います。蔡沢の最後は、あしたのジョーのラストとダブって、感動ものです。しかも、斉王も暖かく見守ってる所も最高でした。今回のシーンより、いかに斉国との密約が大きいかを印象付けられた。やはり、キングダムって作品が最高なんだという事を再認識させられました。次は再来週となり待ちどうしいですが、これ程の作品作る為には仕方ないと思います。
いよいよ李牧との対談ですが、秦王の政は完全に対立の姿勢で臨むでしょうが、李牧はそれをかわす様な意表をつく話を持ちかける様な気がします。同盟ってわけではないでしょうが、ただ秦王の人物を見るだけで来ないでしょうから・・・
全然わからない。黙って、次を待てですね。
by 先読みのシャア (2016-09-16 22:00) 

覇王

最高の外交官!!
by 覇王 (2016-10-05 21:51) 

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