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第487話 東西大王会談

突如咸陽に現れた王建王。急転直下の大王同士の会談に向け、文官たちに焦りが走っていた。
昌文君は斉王との会談の内容は不明であるため、主要人の少数だけで本殿ではなく、人目につかない方紀殿で密かに執り行おうとしていた。昌文君は政と昌平君と介億を連れ、方紀殿に向かって、走っていた。李牧は本殿に待たせており、そちらで謁見させる予定としていた。大国の王が突然咸陽に来るなど前代未聞であり、本来であれば国をあげて迎えばならない程であったが、斉王の長居せぬ故、すぐに場を設けよという注文により、大急ぎで準備に取り掛かっていた。

方紀殿に向かう途中に王建と蔡沢と遭遇する。王建は突如遭遇した踊り場に会食の場を設けるよう仕向け、食べながら、会談すると提案する。昌文君は大国の王二人の会談がこんな踊り場ではと止めに入るが、王建は密室でただ話すのであればわざわざ秦まで足は運ばず、秦という国と王を感じに来たと話す。
政は王建の提案に同意する。しかし、王建は席は三席しかなく、王建と政と蔡沢のみであとは外すようにと指示する。蔡沢は自分は橋渡し役故、近くで見守るとし、残り一席は丞相にと身を引く。王建は丞相は二人いるようだがと尋ねると蔡沢は悪いが退がってくれるか昌平君と話し、昌平君はそれに同意し、介億を連れてその場を離れる。昌文君は蔡沢が自分を指名したことに疑問を感じながらも席に着く。王建は給仕達全員も下げさせ、会談が始まる。

王建は第八代斉王王建であると言うと昌文君はその大きさに圧倒される。それに対して、政は第三十一代秦王嬴政であると返すと、その場に熱風が巻き起こる。
王建は綺麗な顔の割に猛々しいと評価し、本題に入ろうとすると政はそれを止め、席を立ち上がり、四年前の合従軍の折、斉が合従軍より抜けたことで、秦が救われたと秦王として改めて礼を言うと頭を下げる。
王建はそれを聞き、秦を助けたいと思ったのではなく、合従軍が秦国を滅ぼして、その土地と人間を六国で取り合った後の世が見るに堪えぬ汚濁になると思ったからだと自らの考えを話した。しかし、あろうことかそこで救われた秦が今度は六国を滅ぼし、全てを手に入れて、それ以上の汚濁を示そうとしていると続ける。政は中華統一を汚濁と断ずるならば断固それを否定すると反論する。王建は否定してみせろと言い、さらに蔡沢から中華統一の話を聞いた時、李牧と結び、第二の合従軍を興し、次こそ秦国を滅してしまおうと考えたと話す。王建はしかし、蔡沢から続けて人が人を殺さなくてすむ世界がくると秦王は言っていると聞いており、それに相違はないかと確認すると政は勿論だとだけ返す。
王建は空論だと吐き捨てると政はすかさず違うと否定する。王建は政の理想の世を聞いた時に蔡沢同様胸に来るものがあったが、六国征服と人を殺さぬ世の間にはとてもなく重い現実が抜け落ちていると指摘する。それは国を滅ぼされ、その日より仇敵国の人間に、強制的に秦人にならされる六国の人間達の苦しみであった。王建はその前に第二の合従軍で秦を滅ぼさねばならぬぞと脅す。しかし、政はそう焦るな、答えはあると断言する。



昌平君ではなく、昌文君である理由は今後明らかにされそうですが、裏の理由としては間違いなく、リアクションの大きさではないかとちょっと思いました…
王建が言うことは間違いないのですが、政がどう反論するのか楽しみです

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「答えは…ある!」か。あの呂不韋を論破しただけあって早くも次号が気になるな…

にしてもどこか王建の名乗りのシーンは、かつての王騎・呂氏四柱の「とてつもないデカさ」を彷彿とさせたな。しかし政は政でまた凄まじい気迫があった。

なるほど、斉王合従離脱の真意はそこにあったのか。筆者完全に当初、王建の言葉通り戦争=金で離脱するだけで多額の金と蔡沢との義理で十分なんだと思ってたが違ったな。

王建の言い分も納得するし、それ相応の覚悟で政と対峙してるのは伝わるが、これを如何に政が反論するんだろうか・・筆者も昌文君の立場なら答えに詰まる所を政は冷静な眼光で王建を見つめるんだもんな・・・いやぁ〜前号の昌平君が言っていた「東に鎮座する人物」を筆者堂々と項燕と言ったが、今回の王建の言葉からも彼自身である事が窺い知れたな。(先読みさん、流石です)。
by お名前(必須) (2016-09-01 08:38) 

五百人将

変わり者というイメージだった王建王ですが、なかなかどうして名君の器のようですねー。
政の反論ですが、馬陽の戦いの出陣前に王騎を通して昭王から伝えられた王の在り方に関する言葉に関係があると考えます。
昌文君は王騎と昭王の両方に関わりが深い人物であり、昭王時代の丞相だった蔡沢は昌文君をその場に残したのだと思います。
by 五百人将 (2016-09-01 13:11) 

かずお

項燕LOVEとほざいているかずおです、LOVEは無いか。昌平君を外したのは項燕…楚…の話になり、要らぬ刺激を与えない為に外したのかな?と勘違い増長中です。嬴政は何と応えるのか楽しみですが、前回の不倫おじさんとの論破では対極の衝突で結果は武に委ねてました。今回はその対極の意見を併用して、武と愛と貨幣による具体的な展開を述べるのかな?と。才能は派閥・立場に囚われず採用するなら、不倫おじさんのアイデアは使って損無いでしょう。本人は流石に抜擢出来ませんが、共通貨幣制度使えば国家運営にはなります。体面体裁よりかは国家運営でしょう。

李牧?信と呑んでたりして。
by かずお (2016-09-01 20:48) 

KEI

かつて合従によって亡国寸前まで追い詰められた
国の王が合従軍を止めるのも起こすのも
思いのままとは面白い。
原先生は史実の人物に面白い癖を加えてきますね。

斉王の言は保守的な分、呂不韋のとの対談を
思い起こさせました。
by KEI (2016-09-02 00:04) 

先読みのシャア

王建王は良い意味での化物でしたね。こういう悪人顔で中身が良いのは好きなキャラだな。
論争、白熱してきて、本当に次回が楽しみです。答えについては、あくまで私の勘ですが、政と信が出会った時、信が言った「底辺の人間には王様なんて関係がない」の言葉が関係してくる様な気がします。つまり、国が分かれてるのは王家の勝手な都合で民は関係ないのだと。だから、王家を統一して、民が捲き込まれ無いようにすると・・・
昌平君を外したのは、傑物昌平君を隠す為ではないかと。後々の対斉国の争いに警戒されるのを避ける意図があるのでは?昌平君もその方が良いと判断したから、簡単に従ったと思ってます。
李牧は帰還してきた信とばったり会ってしまい、ひと悶着あったりして。そして、黒羊丘での桓騎の悪行を詫びて器の大きい所を示して欲しいです。
by 先読みのシャア (2016-09-02 07:00) 

ゼーフェルト

まさか、まさか、
秦国滅亡まで嬴政の計算のうちだったのか?

確かに亡国の民が戦勝国に従うのは耐え難い苦痛。
だがその戦勝国まで滅んでしまったら。

六国が滅び、秦まで滅び、
その後全く新しい漢が中華を支配して400年の太平が築かれた。

一見、嬴政の理想は失敗したかに見える。
だが、その失敗すらも始皇帝の手の平の上だったのだとしたら。
by ゼーフェルト (2016-09-03 02:25) 

となりのヒョウ公兵

はじめまして。いつも皆さんの意見、楽しく拝見させて頂いてます。

ゼーフェルトさんの、秦滅亡も政の計算のうちか⁈という推察、分かります。呂不韋との問答で、「次の世は〜」人が人を殺さなくてすむと言ってて、これ実は漢のことを指してるんじゃと少し疑ってました。(普通なら自分の子孫の時代という解釈ですけど)
政の中華統一は統一後に秦を皆で倒してこそ完成なのかなーと。

この問答、昌平君が答えたら意味ないですしね。ちなみに、昌平君の中華統一はいわゆる覇者を、あと自分の才能を示したいような気がします。てか、いつも居ないけど、政の理想知っているんでしょうかね⁈

いずれにしろ、昔から考えてきただろう答えを何と応えるのか楽しみです。
by となりのヒョウ公兵 (2016-09-03 04:07) 

伊世

皆さん、こんにちは。

八月も終わり九月になりました。「キングダム展in佐賀」に行って参りました。台風の接近が気になる中、佐賀県立美術館の前に立つとドキドキしました。展示会も終了を迎えているのにたくさんの方が観に来ていて、こんなにも「キングダム」が好きな人がいるんだなと、嬉しかったです。
原先生の原稿や絵コンテが展示されていて、一枚一枚に迫力を感じました。 キャラクターの紹介図のコーナーで、隣にいらした方が、初めて見たのかな?斉の国の王建王を指して「この人、蛇を食べている」と驚いていました。私も以前、初めて王建王を見た時は口にしている物を見てビックリしました…。そうなんですよね、王建王って変わった風でとんでもない人ですよね。政、負けるな。
隣接している博物館のカフェレストランで、「タジフの石球丼」と「河了貂のラテ」を注文しました。前から食べてみたかったんです。おいしかったです〜。
これからも応援しております、原先生、頑張って下さい。

…本編と関係のない話ですみません…
by 伊世 (2016-09-04 10:49) 

お名前(必須)

この答えが周りの五国が滅んでいっても、斉が最後まで傍観の立場を取ってたことにつながるのかな。

これから李斯とか重宝されるから法治国家にしていくのか?100年前の商鞅も言ってたしね。

ちなみに昌平君を外したのは、王建王の話を聞いて感化されて、祖国の楚に寝返えるかもしれないと思ったから?楚の公子ですし。昌平君の最期は原先生の短編読み切りに書いてますね。
by お名前(必須) (2016-09-04 18:52) 

昭王

再び合従軍が興るかどうかの会談になってしまった。

しかし、本当に重要なのは斉王ではない。

今秦にとって李牧こそが1番怖い存在であり、李牧の動きを封じなければならない。
by 昭王 (2016-09-04 21:17) 

しゅうしゅう

斉王は蛇を口にいれているような風貌のせいもあり、変わった人物なのかと思っていたけど、かなりの良識人なのかも。

会見に同席できず、出し抜かれた李牧は王同士の会見後どう出るんでしょうかね。
by しゅうしゅう (2016-09-08 08:00) 

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